満足度★★★★
昨年のアゴラ公演が最も印象的な<iaku>、三鷹市芸文での数年前、そして満を持しての再演という触れ込みで同じく三鷹(エダニク)、今回の「趣向」舞台と、関西は遠いし名前もピンと来ないが着実に存在感が増している劇団(以前買った戯曲集を改めて手に取ったり・・読んでも中々面白い)。
現代人(日本人)のリアルな生活観を背骨に、人物らをけしかけて「出来事」を起こして面白がる作家の視線が感じられる。人間だから、生活を営み、存在し、行動を起こせば、必ずや面白い何かが、そして何か考えざるを得ない材料がそこにある。。
訴えたい人の文体ではなく、観察者のそれである。
今回の作品が包含する二つのエピソード(死期の近い母をもつ兄弟、子を作らない約束だったのに子が出来た=かも知れない=夫婦)は、彼らに見えない二人の女の会話と場転指示を挟んで、舞台上では交互に進行する。やがて会話は錯綜し、人物6名の舞台上での関係性の全容が見えて来るまでの「謎解き」の時間を楽しむ芝居だ。伏せられた事実がスローペースで解明され、現われ出た全容は、それなりのリアルな姿かたちを取って、一応は納得できる。安定した実力を感じさせる終演。