満足度★★★★
この作品は戯曲版と、ミュージカル版があるが、原作に近い戯曲版が要を得ている。かつて見たベニサンの舞台は元倉庫と言う場所もよく劇場の大きさともちょうどよく見あっていい舞台だった。その時もジャニーズの岡本健一だったと記憶しているが、今度もジャニーズの大倉忠義。こちらは芝居の経験が少ないというだけに岡本のような複雑な性的嗜好はだせず、また劇場もツルンと大きいグローブなのでスター顔見世のエンタメ性が強い。鈴木裕美の演出は例によって細かく終盤はしっかりと締めている。渡辺いっけいは次第に大蔵に心を寄せていくと女らしくなっていくところがうまい。
それはそうとして、今日の観客には驚いた。一階席で見渡したところ、関係者、記者らしい数人を除いて男性客は三人であとはすべてアラサーの女性客。彼女たちは当然ご贔屓の役者の初奮闘を見に来ているのだから、案の定、芝居の壺は外していて、板の上はさぞやりにくかっただろう。