レモンキャンディ 公演情報 匿名劇壇「レモンキャンディ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

     劇場エントランスにチラシと「CoRich舞台芸術まつり!2017春・最終選考作品」の看板があり、嬉しくなりました。そして劇場内に入るなり、舞台美術(柴田隆弘)を見て気分がアガりましたね~!超急こう配の円形なんです。こういう空間に入り込んだ瞬間、「小劇場って素晴らしい!」と思いますね。当日パンフレットに書いてあった通り、開場時間のBGMの選曲とミックスが楽しかったです。

     「上空10億kmから7日間落下し続ける飛行船」が舞台のシチュエーション・コメディーでした。終演後のトークで作・演出の福谷圭祐さんが「自分は自分の戯曲のセリフの応酬が好きで、物語や起承転結はそれほどでもない」とおっしゃっていたとおり、辻褄を合わせるとか、整合性をとるといったことは重要視していない作品でした。極限状態の集団に起こる事件を滑稽に見せる趣向だと思います。福谷さんは『悪い癖』(2015年)で第23回OMS戯曲賞・大賞を受賞されています。

     終演後のトークでの「この美術を東京まで運んでくるのが大変」という福谷さんの発言を受けて、ゲストの北川大輔さん(花まる学習会王子小劇場芸術監督)が「地域の劇団の東京公演は輸送費、交通費にかなりお金がかかる。ご興味あればグッズをご購入下さい」とおっしゃいました。ロビーでは過去公演のDVDや公演公式Tシャツなどの物販が充実してまして、私は戯曲(1000円)と公演パンフレット(800円)を購入しました。

    ネタバレBOX

     白と薄い灰色が基調の美術に白装束の俳優たちが登場し、カラフルな照明(西崎浩造)が映えます。ムービング照明がリズミカルで、特に客席にも当たるレーザー照明がとても良かったです。花まる学習会王子小劇場 のロフトのパイプの色と舞台美術がマッチしていて、この劇場に合わせて作られたのかと思えるほどでした。
     
     飛行船に閉じ込められたのはイケメンのホスト・快晴(佐々木誠)、現実と虚構を区別できない病気にかかった男性・曇天(福谷圭祐)、新興宗教の女性信者・雨水(松原由希子)、地下アイドルグループ「しゃかいもんだいっ!」のメンバー・綿雪(東千紗都)、スタントマンの雷鳴(石畑達哉)、大学院生の女性・夜霧(芝原里佳)、綿雪のファンで同人誌を発行する男性・砂嵐(杉原公輔)、風俗嬢の朝凪(吉本藍子)の8人。

     砂嵐が歌う「しゃかいもんだいっ!」の曲がすっごく可笑しかったです(作詞・作曲:福谷圭祐)。もう一度聴いて笑いたい。一番笑ったのは、死を超越したようなことを偉そうにのたまっていた雨水が、いよいよ衝突が近づいてきた段階で「死にたくない!」と叫んだ時です。本気で取り乱す姿が滑稽で愛らしく見えました。

     題名であるレモンキャンディーは“6秒を1時間に感じさせるドラッグ”で、スマホに電波が入り、地上が目視できるほど近づいて、とうとう衝突まであと12秒という最後の瞬間を2時間に延ばしてくれます。死を目前に、人間は何をするのか…。雷鳴が、日課なのであろう筋トレをしていましたが、他の人たちはうなだれていたり、立ち尽くしていたり、全体的に静かでしたね。個人的には誰もがジタバタする姿が見たかったなと思いました。

     演技については次々に起こる出来事や会話が「振り」に見えることが多く、残念ながら引き込まれなかったです。夜霧役の芝原里佳さんの演技には真実味を感じられることが多かったですね。匿名劇壇の出演者は劇団員のみだそうです。女優さんが美人揃いですね~。

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    2017/05/27 23:21

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