から・さわぎ 公演情報 ZIPANGU Stage「から・さわぎ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    タイトルが洒落ている。シェイクスピアや某TV番組「恋のから騒ぎ」を連想させるが、さらに当日パンフを見て伏線があることを知る。全体的にはドタバタコメディという印象であるが、シェイクスピア戯曲のパロディと思わせるようなシーンの数々。そこに人間性と社会性が観て取れる、そんな深みが感じられる公演であった。
    (上演時間1時間45分)

    ネタバレBOX

    公演は、唐沢製菓という会社の社内ラウンジで巻き起こる喜劇。セットは下手側に飲料を提供するカウンター、それ以外はテーブルとイスという休憩スペースといったところ。下手寄の正面壁(際)に「KARASAWA」という社名ロゴが見えるが、そのロゴにハートマークの照明が…。実にオシャレ。

    物語は新人が取締役会へ新商品企画をプレゼンテーションするため、その予行演習を行っているところから始まる。いくつかの試作品とそのコンセプトを説明する。直接的に取締役会シーンは描かれない。社長・専務・常務などの取締役会メンバーが息抜きなどの理由を付けてラウンジへ現れる。そこへ営業部員が現れ、解雇されたと嘆く。なんと社長に向かって厚化粧と暴言を発してしまった。激怒した社長が解雇すると言い出し、何とか撤回してもらいたい。そこで思い付いたのが社長を恋の虜にすると…。

    人間性から 社長の恋は漂流するかのように心が揺れ、その様を面白く描いている。その過程で観る場面は、シェイクスピア戯曲を連想させるシーン(例えば死んだ真似など)もあり可笑しい。また男女の恋心は共通でも、その性別、役割のような生まれながらの違い(夫の好きな料理か妻の栄養管理か)を強調する。
    社会性から 役員と社員の立場の違いというか、最近の流行語のような「忖度(そんたく)」という言葉を連想する。その「他人の気持をおしはかる」という意味から、こちらもシェイクスピアの宮廷を取締会になぞらえて茶化すようで意味深である。

    役者はそれぞれのキャラクター、立場の人物像をしっかり立ち上げ体現している。その登場人物の名前も江崎、東鳩など製菓会社を使用しており笑える。演技のバランスもよく、嘘、その糊塗、混乱、収拾という展開はまさに空騒ぎで楽しめた。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/05/27 15:42

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