ATTACK! 公演情報 劇団 浪漫狂「ATTACK!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    戦後60年、”出撃した特攻隊員が生き残っていた”その経過を公演にする、という劇中劇のような設定である。この公演そのものが、反戦を直裁的に描いており、テーマを明確にし伝える。その観せ方は、リアルと言えないまでも、役者の外見や衣装は、戦時下をそれとなくイメージさせるよう努めている。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    舞台はほぼ素舞台で、白いBOXが4つあるのみ。それを動かすことによって情景や状況を想像させる。時代背景は昭和18年前後、学徒出征から人間魚雷・回天で出撃するまでの戦時下における青春群像劇。男役者は短髪、軍服を着ている。当時の青年-その個々人を描いているが、国家はそういう個人に犠牲を強いているという意味で、体制批判を描く。個人の思いの前に巨大な組織(体制)の思惑に翻弄され、不自由になっていく。いや不自由ということすら認識しなくなる恐ろしさ。

    「何もない空間」にゼロから表現を立ち上げ、「嘘の世界」を観ている時だけ「本当の物語」として体感させることが大切。もっとも、ここで描かれている事は現実にあったことをモチーフにしており、それだけに悲しくも残酷である。それを比喩もへったくれもなくストレートに訴える。

    戦争を身をもって知らない世代が多くなる中で、なお戦争の悲惨さを語り継ぐことの重要さ。戦争に関しては、文学・美術・映(画)像などにも共通するが、芝居は舞台という空間に生身の人間がその身体で観客の身体と対峙しているところが違う。まさしくライブなのである。

    しかし、役者は熱演ではあるが表現に少し難があった。日常的な会話と戦時下における特別な思いを伝える言葉、その奥にある”魂のゆらめき”というか”神性”を感じられず心に響かないのが唯一残念。その点で感情移入できないと思った。
    それを補うかのような音響・音楽、照明による印象付け、その演出は効果があり好ましかった。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2017/05/11 20:30

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