満足度★★★★
舞台はある無国籍な世界。その世界観は場内に入った途端、早くも物語に引き込まれるような雰囲気がある。地球か異星か、過去か未来か判然としない中で展開する話は寓話のようだ。廃墟のような場所、その閉塞的社会の中で未来を信じ明るく生きようとする主人公、その陰陽が対照的で印象深い。
混沌とした世界は、未来(または異星)から来た2人の行動から始まるようだが…それぞれ自分が信じる道(社会)に身を投じ、その結果、未来の原因となる状況(殺戮・恐怖、打算と貧困)へ影響を及ぼす。一見、循環型の物語は、プロット・スタイル、知性・躍動という公演を面白くさせる要素が備わっており、楽しく観劇した。
SFの古典的要素(現実の生活)を集めたようだが、その表面下に隠れているのは混沌(現在の日本)からの脱出、未来への希望である。見慣れた光景に、現代社会に対する新たな”未来”を吹き込むような。この公演イメージは、映画「ターミネーター」の未来・過去の循環型の構成を連想させる。