Rは決して爪を噛まない 公演情報 かーんず企画「Rは決して爪を噛まない」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     AIの定義は、未だ定まっていないのでかなり想像にも幅がある。

    ネタバレBOX

    自分はシンギュラリティーを超えたレベルでのAIが人間なんぞに媚びを売る必要は一切ないと考えているが、今作のような展開も可能性は低いと考えるものの、描かれている内実に関しては極めて興味深いものがある。ロシア革命以前のロシア貴族を描いた「オブローモフ」を挙げるまでもなく、人間というものは際限なく堕落し得る存在である。その退屈の果てにとんでもないことをやらかし得る存在であることも、サド作品などを読めば明らかであろう。尤も日本のサド裁判では、澁澤龍彦が指摘した通り、最も肝要な部分を裁判官たちは判断せず、下らない風俗紊乱などで断罪したのは、彼らの文化的レベルの低さを見事に表していて悲惨そのものであるが。
     閑話休題。今作の興味深い点は、シンギュラリティーを超えたレベルのAIが搭載されたヒューマノイドが、人間らしさに憧れ、それを身に付けようと努力し且つ進化して、人間をサポートした結果、人間はその本能以外に何ら自らの意思で社会に発現する道を閉ざされることによって壊れてゆく過程を描いていると同時に、そのような欠陥をしも真似ようとする優秀なヒューマノイドが今後を担ってゆくことが最後に示唆される点である。その人間存在の闇を能力の高い者が実践したら、ガイアは確実に終わる。そのような不気味をキチンと提示している点が非常に興味深いのである。この人間というガイアのウィルスが滅びる必然性を、不気味の谷に通じるようなテイストで表している点に共鳴する者としない者で評価は正反対になるであろう。

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    2017/05/04 23:32

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