満足度★★★★
アントン・チェーホフの4大戯曲というが、自分は初見である。この劇を現代の日本で上演する理由は何か。”チラシには絶望の過去、忍耐の現在をくぐり抜け、希望の未来を見つめる物語”と書かれている。その内容は、人の本質的な感情は時代を超えて共感する、そんな思いを抱かせる。真面目で平凡に暮らしてきた人間の悩みや苦しみの表現が如実に伝わる。自分は何のために生きてきたんだ、悔悟のような心境かもしれない。
舞台となるのはロシアの片田舎、有産階級と思しき家族とその家に出入りする人々の会話劇。主人公・パトローヴィチ(ワーニャ伯父さん)は、自分はもっと才能・才覚があるが、本気を出していないだけ、そしてそれは今後も続くという傍観者的な姿。人は少なからず持っている感情を剥き出しに観客に迫ってくるようだ。その意味で今の時代に相応しいのか考えさせられた。
(上演時間2時間5分 途中休憩10分)