食卓の愛~Spring ver~ 公演情報 LOVE&FAT FACTORY「食卓の愛~Spring ver~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    2016年のミニシアターで一番人気のあった作品を長編化したもの。会場内に入るとすぐにあの有名な映画のシーンを連想させるような横長テーブルがある。その映画の食卓シーンはそれまでの邦画で観られた”食卓を囲む”ではなく、人(この映画では家族)と向き合うことがない、そして観客を意識したもの。
    本公演も「食卓の愛」というタイトルであり、そこには深いワケが…。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、先に記した横長テーブルが客席寄に置かれている。奥は少し高い段差を設けているが、別の場所へ移動させる空間処理であろう。時々、場面転換として回想シーンが現われるが、その時には舞台と客席の間に紗幕が引かれる。

    さて、映画とは「家族ゲーム」(1983年 森田芳光監督)であり、正面切って家族と向かい合うことがない、上辺だけの家族・食卓を描いていたが、この公演では逆に本当の家族ではないが、愛ある食卓を求める人々が騒がしく描かれている。その食卓のメインメニューがカレーライスである。日本人には、煮物やラーメンと並んで好まれる料理であろう。

    梗概…食卓に愛!をモットーにしているシェアハウス「コラソンKIYO」の問題を抱えた個性豊かな住人達が巻き起こすコメディ。管理人はオネェ、住人達は霊感占い師、駆け落ちカップル(女性はヤクザ組長の一人娘)、キャバクラ嬢、一見真面目な女。そして主人公の千川もも(斎藤未来サン)が無邪気で好奇心旺盛な魅力ある女性を演じている。このシェアハウスを見張る刑事の存在。

    登場人物は魅力的でキャストは熱演している。しかし、刑事が事故死した女性を探す理由が分からず、しかもその成果が表彰ものらしい。またヤクザ事務所へ管理人オネェが昔の友人を伴って出向くなど疑問が残るが、卑小なことかもしれない。
    しかし、住人を含め登場人物全員に”もも”の姿が見えるというのが最大の謎であった。それゆえ物語に意外性が乏しくなり、普通の話として展開しラストの衝撃度が弱くなったのが残念。このシェアハウスの住人との絆を大切にしている証だろうか…。目に見えない共感として 居る と想像させた方が面白いと思った。
    本公演、映画と違って擬似家族であっても温もりが感じられる家。その食卓の和気藹々の雰囲気を客席に伝えるための横長テーブル、観せるための演出であろう。この独特な観せ方は滑稽で印象にも残る。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/04/23 10:35

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