FAMILY 公演情報 ヒューマン・マーケット「FAMILY」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    某地下倉庫が舞台…劇中の台詞にもあったが、「ロミオ&ジュリエット」のような反目し合うファミリーと一家の男と女の恋愛話から物語が始まる。本公演は登場人物の外見(衣装など)で区別でき、どちらの者か考えるまでもなく視覚で楽しめる。その演出効果は巧み。
    またこの対立の構図は、地方(郊外)都市における小型商店の衰退、いわゆるシャッター商店街という課題を垣間見せる。もっともこの課題は背景として表現しているに止まり、物語の中心は両家の確執とそうなった経緯、これからの行方を面白可笑しく描いている。
    (上演時間1時間40分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは壁際に脚立やダンボール箱が積み上げられている。一見すると雑然としているが、中央に空きスペースを作りアクションを観(魅)せる。この倉庫は0(ゼロ)倉庫と呼んでいる。この倉庫は両家にとって思い出の地のようで、偶然か必然か分からないが佐藤家(コーポレーション)・鈴木家(商店)の人々が集まってくる。

    冒頭は先に記した通り、佐藤家の三男と鈴木家の次女が恋仲になり、鈴木家の母に相談するところから始まる。今では反目しているが10年前までは共同経営するほどの間柄であった。仲違いした原因は子供じみたこと、「銃」と「刀」のどちらが強いかという銃刀の優劣が発端である。先にオチを書くが、決してブラック企業などではなく玩具会社である。この倉庫は商品の保管をしており、初(ゼロ)めて使用した思い出の場所である。両家とも年に1度会合を持っていたが、それぞれの経営も苦しいことからどちらの家も手放そうとしている。

    この商店街も後継者が少なくなり閉店が相次ぐ。この両家を取り持つような存在の山田屋(今川焼き店)もその1つ。人気店も時代が現代に近づくほど残念な結果になることが多くなってきている。同時に新たな商売も生まれてくる。本公演でも今川焼きはサーファーショプに変わるようだ。

    反目・確執から和解する。それに伴って1人ひとりの心の距離が縮まる。その過程で観せるアクションは、自在な動きの妙(跳蹴りでダンボール箱に突っ込む演技?)、脚立や階段を利用した高低差は躍動感が倍加する。

    「家族」をテーマに精神的な再生を肉体的な高揚で謳い上げる。そして背景に地域事情という社会問題を潜ませ表層的な喜劇に止まらず、奥深い物語に仕上がっていた。最後に舞台技術(照明・音楽)も効果的で、映画音楽ゴットファザーや宗教曲のようなものまで。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/04/18 19:40

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