満足度★★★★★
鑑賞日2017/03/22 (水)
初回に行ってきました。
実は以前は観劇というものにさほど関心がありませんでした。たまたま観たものの多くが「価値がわかる人だけが楽しんでくれればいい。」というような意図を感じさせました。それはそれで、こだわりを追求して作られているので熱意は感じられるのですが、置いてきぼり感が強く、自然と足が遠のいてしまいました。
そんな私が昨年秋のコントレックスですっかり引き込まれ、今回とても楽しみにしていましたが、期待以上でした。結論から言うと、観劇愛好者さんも私のような初心者も皆が楽しめるものですし、日常のせわしなさを忘れて、明日も頑張ろうというパワーをもらえるような2時間でした。今辛い思いをしている人におすすめしたいです。
まず、ストーリーが面白いです。時をかける動機がその都度人間らしくて、設定が非日常なのに、変な違和感がありません。それぞれの思い(思惑?)にどこか共感できる部分があるので、極限状態を俯瞰しつつも、ハラハラした気持ちを会場全体で共有できます。筋の中で複雑な部分では、必ず補ってくれる解説場面がありますし、無理なくこの世界に入れます。
次に、ひとつひとつのセリフの面白さに笑ってしまいます。掛け合いのテンポがよいのと、その一言一言によって人物像がより鮮明に浮かび上がるのとで、想像も膨らみ、目が離せませんでした。
また、初演を見ていませんが、改良を重ねて作られたようで、役者さんたちの役への愛着が伝わりました。自分を演じるというのは、ある意味気が楽なのかと思ったのですが、端々に熟考が重ねられているのが察せられました。
残念ながら一回しか見られなかったのですが、この熱気と勢いがどんなふうに今後を導いていくのか、気になりました。