KUDAN 公演情報 TOKYOハンバーグ「KUDAN」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2017/04/12 (水)

    先に結論から申しますが、初日故の緊張、まだ生乾き?な部分を勘案しても、恐らく、今年随一の観劇体験になるのでは、と思いました。

    ネタバレBOX

    件(くだん)であるクラープの誕生シーン、処分される寸前で牛たちが牧場から解き放たれるシーン、そして生活の場である森の伐採で牛たちが追い詰められる最後のシーン…歳がバレそうですが(苦笑)、真っ先に『ジャングル大帝レオ』での光景が目に浮かびました。
    ただし『レオ』のテーマが「人類の文明に追われる動物たち」だったのに対して、本作では、人類の文明の脅威(原発事故)にさらされるのが、動物(飼育牛や被災者に捨てられたペットたち)だけでなく、人間自身にまで及びます。それまで営々と営んできた平穏な暮らしを或る日突然奪われる、その何と理不尽なことよ!
    私が作品から受け留めた最初のメッセージです。

    原発事故は、動物たちにも・人間にも、多くの「死」をもたらします。さらには、事故後に授かった生命にさえ、暗い影を落とします。動物側ではクラープ、人間の側では三日月の生んだ子。(あえて言葉を選びませんが)「奇形児」であり、さらには三日月の子は生まれてすぐに亡くなっています。しかし、たとえ「奇形児」であろうと・「死者」となろうとも、この世に生まれて来た命を・生きていた証を、尊重し・忘れずにいる心持ち。
    生命の尊さ…私が作品から感じ取った、もう一つのメッセージです。

    と、まあ、感想はこのくらいにして…。

    作劇的な面に関しては、福島原発事故で被ばくした牛たちの飼育を続ける「希望の牧場・ふくしま」にインスパイアされた題材を、「件(くだん)の牛」の伝承を基にした現代の寓話に作り上げた、その着眼点の非凡さに何よりも感心させられました。

    役者陣。ヒロイン・クラープ役の山本由奈さんを初め…いえいえ、敢えて個人名を挙げるのは止しましょう。舞台の上に立った座組みの皆さん全員の総合力に、唯々胸を打たれました。

    最後に(また演劇とは離れてしまいますが、汗)。
    劇中の、三日月が死産した子の症状に関して、「風評被害」の観点から、批判的な意見も寄せられるだろうな、と観ていて感じました。
    「希望の牧場・ふくしま」で育てられている牛たちにしろ、原発事故との因果関係のある・疑われる症例にしろ、合理的根拠が認められる限り、「時代の証人」に目を背けてはならない…ワタシが勝手に解釈した、作品からの最後のメッセージかもしれません。

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    2017/04/13 05:24

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