Rabbit Hole 公演情報 Rabbit HoleRabbit Hole」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    平凡と思えるような夫婦の暮らし、確かに数ヶ月前までは幸せな家庭であったが、ある出来事を境に変わってしまう。過去に囚われた妻、未来に思いを馳せようとする夫、その心の持ちよう、葛藤が周囲の人々との関係の中で澱のように沈殿していく。
    ピューリッツァー賞受賞、ブロードウェイでトニー賞受賞した原作、その日本初上演の翻訳劇は日本の情景・状況へうまく取り込むには難しいようだ。
    (上演時間2時間 途中休憩10分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、神戸夫妻(原作はコーベット)の宅内。上手側はリビングルームでソファー、TVがあり、その奥に子供部屋のような別空間。下手側はダイニングキッチン、冷蔵庫が置かれている。全体的に白基調の調度品のイメージから空虚な感じが漂う。

    梗概は、4歳の一人息子が8カ月前に交通事故で亡くなった。その息子(事故)が忘れられない妻、何とか前向きに生きようとする夫、その悲しみに対する夫婦が持つ感情に違いがあり、捩れた関係になる。それを修復しようとお互いを思い遣るが、その行為が自分本位になるところもあり、より深く相手を傷つけてしまうという悪循環に陥っている。

    1部で妹の妊娠が発覚、自分の兄の死を巡り、亡くなった息子への思慕はより鮮明になると同時に、悲しみの感情をコントロール出来ない苛立ち。
    2部で交通事故の加害者少年(高校生)を自宅に招き、その胸中を聞く。少年も事故のとこを苦しんでいたようだが…だんだん高校生活の楽しさも語り出す。
    息子の思い出を仕舞い込みたい思いと、そう出来ない行為(子供が映ったVTRを観るなど)の矛盾。そこに2人の心の悲しさを埋めきれないやるせ無さが見える。

    原作、アメリカという国を舞台に絶望と喪失感をリアリティに描いているが、人間ドラマの嘆きは国が違っても普遍的なものである。しかしその観せ方、演劇という見世物になれば文化の違いを意識させても良いと思うが…。描く内容は理解できるが、その感情表現としてはどうか?日本人の感情として数ヶ月でここまで露骨な会話が成り立つか。その話題に触れないよう気を使う。その重圧・閉塞・絶望・喪失感が先に立つような気がする。
    また視覚として、加害者の衣装「学生服」が端的に違和感を覚える。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/03/11 13:02

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