満足度★★★★
鑑賞日2017/02/25 (土)
史上最高の双身でした。これまで本作を含めて三公演四作品拝見していますが、いつも、最新作が最高傑作と感じます。尊敬いたします。
誰がなんと言おうとこの「芝居」はエンターテイメントでした。
「ああ、この芝居のいちばんいいところを分かってるのは私なんだ」「これは私のための『芝居』なんだ」とおこがましいありがたい気持ちになってしまった瞬間が訪れたことがありました。
「芝居」上演中に、発話している俳優に照明があたらない瞬間が数秒あって、私はその瞬間の内圧や密度に心を揺さぶられました。
照明のキューイングや発話のタイミングそのものについては、もしかしたら(いやもしかしなくても)実際に想定されているものとは違っていたのでしょう。しかし、その瞬間に舞台全体の集中力や緊張がぐっと高まったように感じられて、なおかつ、何事もなかったかのように三人の男女の「告白」が連綿と続いて行ったときに、私はこのベケットの「芝居」というタイトルをごく個人的な感覚で、でもハッキリと理解できました……。
本当にそれは、観客として最高の幸せ。ああ、これは私の芝居だった。
この体験は、誰とも共有できないのかもしれない。でも、だからこそ、これは私の芝居で、私にとってエンターテイメントなんだ。
ありがとうございました。