始まりのアンティゴネ 公演情報 椿組「始まりのアンティゴネ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    椿組と言うのは不思議な劇団で、演目に主張があるわけでもなし、実力派の新劇小劇場系を使うという方針くらいしか浮かばないが、時にこれが演劇界の風見鶏になる。座長もテレビや映画の脇で出るときの気の弱そうな、しかし骨があってと言うガラが舞台への情熱を続けさせているのかもしれない。今回は瀬戸山美咲・新劇界注目の女性作家の登場である。劇団公演だから登場人物も数こなさなければならず、東京近郊らしき地方都市の弁当屋の「通夜の客」ものだ。主人公のひとり会社社長の佐藤誓が初日終ったところで倒れ、本日復帰、という。重要な役で、終わってみればそういう状況の中で小劇場に甘えず大健闘の成果だ。通夜物の定石のようなところもあるが、今までの作品では、家督相続、意外な親族の登場、不倫の結末などが主な材料なのだが、今回は似ているようだが違う。死者の尊厳と言うことがテーマになっていてそこはさすが新進作家の生きの良さがある。俳優の位置取りもこれだけ人数が多いと行き届かないところもあるが、俳優も頑張って、先の佐藤誓、水野あや、占部房子、それにいつも座長で浮いている外波山文明がうまくハマって好演。岡村多加江、も面白い味を出していた。

    ネタバレBOX

    ただ、自殺の真相を言うということと、家族と家業の名誉を対立させるのは少し無理があり家屋の討論を重ねても結論の出しようがない。そこが狙いかもしれないが、そこの不徹底が結末の幕引きの「亡きものを語ろう」と言うのでは幕が下りないのではないか。しかし、すずなりで見る芝居としては十分大人の観客に耐える出来で、またしても外波山文明と言うのは不思議な演劇人だなと思った。

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    2017/02/28 22:27

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