「シン・浅草ロミオ&ジュリエッタ」 公演情報 劇団ドガドガプラス「「シン・浅草ロミオ&ジュリエッタ」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    タイトルからシェイクスピア「ロミオとジュリエット」(邦題)を連想するのは容易い。原作ではジュリエットは13歳、ロミオは18歳で、国た時代は違うがティーンエイジの恋愛は拙いようで、ラストは死ぬところまで振り切っていく。永遠のテーマ”愛と死”にしっぽりと浸れる公演である。
    この「シン・浅草ロミオとジュリエッタ」は、舞台を日本・江戸時代(元禄14年頃」の浅草界隈、吉原遊郭へ案内される。こちらはシェイクスピア劇と違って大人の妖艶な変容が観てとれる。
    (上演時間2時間20分 途中休憩10分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、日本の伝統的建築様式・唐破風(からはふ)が中央にある館出入り口、横塀はこの劇団の定番造作。掲げられた提灯が風情を醸し出す。

    『ロミオとジュリエット』は恋愛悲劇であるが、若い恋人たちが社会によって課された障壁をはねのけて愛を成就させようとする話は、むしろ伝統的な恋愛喜劇に近いものである。しかし全体的に悲劇と言うよりは、敢えて喜劇的に見える表現、ジャンルの境界を曖昧にするようにして、別の魅力付けをしていたように思う。

    原作の家同士の確執(憎悪)に対し、吉原の亡八者、六道の外れ、川原者に一目置かれている犬神弾左衛門の一人娘・樹里恵(古野あきほサン)と武士、それも当時最も注目されていた赤穂浪士の一人・毛利小平太(丸山正吾サン)という身分違いの悲恋。死出の旅路が運命(さだめ)の男との添い遂げられない仲。そう思えば思うほど短くも儚い恋に燃える男女の仲がよく表現されていた。内なる情念と外の肢体・姿態を見事に演出し体現させていた。そのダイナミックかつ壮麗な演出が見事であった。

    物語の底流には武家社会における理不尽、不条理、さらには階級社会という大きな問題が横たわっているが、それでも中心は男女の恋物語。時代劇にすることで情緒が漂う。現代劇にすると価値観が多様化していることもあり、共有の倫理観を持ちにくいし、無言により深く伝わるという関係性が成りたたないような気がする。しかし時代劇は、顔を合わせただけで情感が漂う。その男女の機微が激しい動きの中にもしっかり観てとれる。この劇団ならではの少しエロチックな場面さえ叙情に浸れる秀作。

    この公演は、恋愛という普遍的なテーマ、その人間ドラマを固くならず観て楽しむ。そんな演技・ダンスパフォーマンスが魅力の一つ。外見的には異様な化粧、威容な衣装などビジュアル面も見事で、観客を楽しませることに長けている。和と洋、時代を固有しないような混在した衣装を通して明色が見えてくる。登場人物の個性が身に付けたものによって一段と強調されてくる。
    大勢のキャストが登場するが、それぞれ役割がありキャラクターも立ち上げていた。

    次回公演を楽しみにしております。

    0

    2017/02/21 19:43

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大