探偵物語1980 公演情報 劇団東京ドラマハウス「探偵物語1980」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    なかなか考えさせる、期待以上の作品であった。 

    ネタバレBOX

     表現することの意味は何処にあるか? 無論、受け手に楽しんでもらうということがある。だが、それ以外にもいくつものことがある。その一つに、自分の問題として考えて貰う、ということもあるだろう。今作、そういう部分も含んだ作品だと考える。というのも自分自身考えさせられたからである。
    いくつかとても大切だと思える科白がある。「この街で指を落とす人間は二通りある。ヤクザと工員さんだ。ヤクザは騒ぎ立てるが、工員さんは偉い。黙って痛みに耐えている」旋盤工が親指を落とした、その指は結局くっつかなかった。その時、ヤーコーの多い蒲田の医師が言った言葉だが、当時その工場に勤めていて、現在はヤクザの少ない地域に就職し労組に参加しようとしていた社員の証言である。
     自分自身、蒲田の隣の糀谷に何年か住んで居た。髪を長くしていただけで、スナックに行けばからまれた。風呂屋へ行けば風呂桶は、油が沁み込んで到底使いたいとは思えない代物だった。そんな町でヤーコーとは不思議に喧嘩にならなかった。自分に金が無かったせいもあるかも知れぬ。それに自分が当時遊んでいたのは、新宿だったということもあろう。だが、蒲田が身近な街であったことに変わりはない。そして当時、街場の飲食店が新宿に次いで多かったのが蒲田である。新宿は、堤が稲川会を使ってのした街の一つ、蒲田は覇権を堤と競った五島が、東急系列の電車を通した街でもある。渋谷に事務所を構えていた安藤昇が五島を脅迫した廉でパクられたことも忘れてはなるまい。安藤組は大幹部の花形満が、素手で敵対していた組事務所に交渉に赴き銃殺された事件を契機に組を解散したが、渋谷に本拠を持っていた関係で東急とは縁が在ったのかも知れぬ。(これは地縁の関係という意味だ)
    何れにせよ、現実にはこのように様々な関係が交差してくるのが世の中なのである。そして、この関係には命が掛かるのも事実である。だが、殆どの日本人が、この程度の基本的事実を事実として認識することができない。この事実こそ重大である。話が逸れた。追記は後送する。

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    2017/02/10 15:46

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