「足跡姫」~時代錯誤冬幽霊~ 公演情報 NODA・MAP「「足跡姫」~時代錯誤冬幽霊~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    ネタばれ

    ネタバレBOX

    野田秀樹の【足跡姫】を観劇。

    故・中村勘三郎との思いを全面に出した作品である。

    母との思いを胸に、女形歌舞伎を続けている姉と弟。
    だが世間はそれを許さず、役人が取り締まっているようだ。
    そこでそれを打破するために、枕営業の傍ら、姉弟は新しい物語で変えようと試みるのだが、肝心の話を書く事が出来ない。そこに殺された由井正雪が生き霊となって、ゴーストライターとして書き始め、世の中は少しずつ動き始めて行くのである.....。

    歌舞伎の始まりである出雲の女形歌舞伎と幕府転覆を狙う由井正雪の史実を下に進んでいく。
    ただ史実はあくまでも背景だけで、そこで描かれるのは社会の矛盾だ。
    それは歌舞伎が現在に至るまでの様々な矛盾、社会を変えようと試みる者たちが感じた矛盾、そして生きる事への矛盾などだ。
    それを感じた人々が、こごの立場で世の中をどのように変革していくか?
    それが今作の大きなテーマであろう。
    だがそんな大事な事も、言葉遊び、見立てる、妄想、二重構造な展開に思考したりする時間すらないほど早い展開で進んでいく。
    またある時は内容に転化しない事も常々だが、そんな事はどうでも良いのである。全てが最後に集約していくのが野田秀樹の面白さなのである。
    だが残念な事に、今作はテーマを逸らしてしまい、中村勘三郎への弔いだからか、故人へのメッセージへ転化した事は間違っているのである。
    だから余計にセンチメンタルになり過ぎた感は否めなく、最後の弟の独演は、説教臭く感じた観客もいただろう。

    野田ファンにとっては不満な今作である。

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    2017/02/10 10:54

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