たわけ者の血潮 公演情報 TRASHMASTERS「たわけ者の血潮」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    基本的に、問題提起の作品は好きだし、それこそが演劇の本質だと思います。
    そういう意味では本作品も<まあ、いい作品かも…>という事になるのですが、
    最近のトラッシュの作風が演劇かどうかという疑問はまたもや増幅された。

    <言語>から<自由の本質>、<ヘイトスピーチ><デモンストレーション><憲法>
    <立法府><9条と平和の定義>果ては…

    これは討論相手のいない「朝まで生テレビ」ではないのか?
    居酒屋で口角泡飛ばして熱弁を振るう”左翼青年”の怒鳴り声を反論なしに素面で聴く会?

    これもひとつの『形態』であるとするならそれも在りかなとは思うが、どうも琴線に触れない。結局は鬱陶しさを感じ、ともすると嫌悪の感情が生まれる。
    「正論だ!聴けよ!!」といった押し付けがましさが<問題提起>を超えて訴えられる、観る者の自己・自我を大事にしない2時間半に耐えられなくなる。

    扱うネタも回を追う毎に多くなる傾向にあり、煩雑さを感じる。
    作品として<消化不良>ではないのか。

    好きな劇団であり、演劇の高みを貫いている劇団だと思っているが、ここ数作は敢えて言えば演劇ではない。アジテートだ。これは寂しい。


    ネタバレBOX

    祖母、母、義母である人の生き様がきちんと表出されていない。
    (行間を表現できる凄い女優で、ファンが多く、大麻愛好家)
    その人が大麻を必要としていたという事実に振り回されているだけだという印象。

    医療用大麻が自由の象徴であるというのか?これは唐突に過ぎる。
    以前のトラッシュなら、この大麻の解禁を巡って、権力側と医療との間の問題、製薬ビジネスの介在や末期医療の現実等々をきめ細かく配した演劇を創作していたと思うし、その手法が好きだった。

    大麻の自由化が平和や人権主義や自由の尊厳にどう関係するのか?意味不明。

    劇作家が中津留氏そのものの風体で作られているのも楽屋落ち感を増長させる。
    洒落にして欲しいものだ。

    川﨑さんのパンフコメントに「メッセージの押し売り感が嫌いで…」云々とあったが
    今最も押し売り感、いや、押し付け感が酷い劇団になってしまったなあと思います。

    溜息

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    2017/02/04 10:35

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