満足度★★★★★
20歳の頃、テレビで白黒の古い映画がやっていた。
ハムレット
かの有名なシェイクスピアの中でも有名な作品
何百年の間にどれだけの人がこの戯曲を作品にしたのか。
20歳の頃の自分は、
そこまで考えるほどのこともなく、有名だから面白いのかな?程度の軽い気持ちで見始め、
白黒の古い映画のせいか、聞きなれない西洋の長い名前のせいか、みんなしかめっ面しているせいか、重くるしく、何シーンか見てやめてしまった。
そもそも言葉が字幕を読んでも何言ってるか分からない。
頭に内容が何にも入ってこない。
五年前、
夫と行ったイギリスでリア王を見た。そもそも英語は頭がシャットアウトしてしまうからか、贅沢な劇場で数分で爆睡。
夫いわく、シェイクスピアは言葉のリズムがキレイな戯曲だから聞いていて心地よく、良い芝居はよく眠れる。
え?そんなんでいいの?
みんな一生懸命やってるのを目の前で観てて、寝ちゃダメだよね。
マンマミーアは英語でもちゃんと内容が分かって面白かったしね。
土曜日川崎ラゾーナプラザソルで公演中のハムレットを観てきた。
面白かった!
カッコよかった。
切なく苦しかった。
生きることへの葛藤
普遍的なもの
言葉が溢れているシェイクスピア
言葉を紡ぐことで、気づきながら、展開する物語
言葉自体はやはり難しいけど、
言葉を飛び越えてストーリーが迫ってきた。
役者たちがこの作品に真摯に向き合って、あの膨大な言葉を心体から発しているからこそ、シェイクスピアに苦手意識しかない私に熱いものが入って来たのだと思う。
そしてやはり生きることへの葛藤は普遍的で、今に生きる我々も同じもの持ってるでしょ?見ないようにしてるだけで、、心揺さぶられないようにしてるだけで、、、ということを突きつけてくる演出。
面白かった。
カッコよかった。
演劇、ってLive
映画とか本を繰り返し観たり読んだりする習慣がなかった。
内容を知ってしまえば繰り返し観る必要が無いと思っていた。
だからみんなが知ってる古典戯曲を演る意味がもともと分かっていなかった。
でも夫が何度も同じ映画、芝居を何度も観る。
受け手は時を経て、また感じることは変わるし、作る側次第で同じストーリーも違う意図をもつ。
映画とは違うのは、ミュージシャンのLiveに何度も行くのと同じように、毎回その日にしか無い面白さがある。
日程を調整して、なんとか一度しか観に行けないのが普通だから、観に行った時には完璧なものが観たい、と思う。
けれど、Liveである以上、同じものはなく、ナマモノだから面白いのだ、
そういう事が少しずつ分かって来た。
演劇を観たことない人、シェイクスピアってどうなの?という人が、絶対面白かった、と思える舞台になっている。
同じものは二度と観られない。観ないともったいない。
だいぶ席も埋まって来てるようなので、興味がある方はぜひ。