とても精鋭な男たち 公演情報 トライヲンズ「とても精鋭な男たち」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    自虐的なタイトル…「とても精鋭な男たち」ではない、そんな駄メンズのような人たちが必死に頑張る一週間の物語。短期間、限定空間での共同生活を通じて顕わになる人格、行動が面白可笑しく描かれるシチュエーションコメディ、観応えがあった。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    舞台セット、冒頭は折りたたみ長テーブル2つを付けて並べ、それぞれ3人ずつ向かい合わせで座っている。中央奥、3~4段ほどの階段を上ったところに室外へ出る扉がある。下手側に飾り棚があり、その上にスチール製の引出しが置いてある。その後、場面に応じて変化する。

    梗概...高額な報酬に誘われた男5人、女1人が一室に集まり、あるミッションのため訓練を行う。その期間が一週間。報酬は1日2万円、6人×7日間分の84万円が既に用意されている。その金額で一週間分の生活費(食費や雑貨)を賄うことになる。使う金額が少なければ残金が多くなり、手取り額がそれだけ多く貰える。途中脱落者がいればその分は残った人たちで分配できる。

    指令のようなものは、携帯電話へのメール(着信音はマリオゲーム)で確認する。まずはリーダー選びから始まる。ここに集まった人たちは「特別」ではなく、市井にいる人々のようだ。チラシには「社会不適合者かもですよ...でもね人に迷惑をかけるような事はしちゃいませんよ?」という弱気な気持が物語全体を包んでいるようだ。逆に気弱さが人を陥れないような救いに感じられた。人が脱落すれば分配金が多くなるのだが、何だかんだ助け合いながらミッションをこなして行く。

    公演は、限定空間での物語であることから、登場人物の人柄なり経歴を紹介し、その人物関連を描く。その個々の視点と、このミッションなりが何なのか、そのミステリアスな展開に興味を持たせる。この両方を上手く取り入れ、物語を膨らませることになるのだが、物語性が弱くシチュエーションの魅力が今一つ伝わらなかったのが残念。
    ここに居る人たちは、仕事がない、もしくは薄給の仕事に甘んじている。そして過去を振り返るでもなく、未来の夢を大きく見るわけでもない。その日暮らしに汲々としているが、それでも諦念している訳でもない。そのあがく姿が、観客のそれぞれの場であがく姿と大差ないと気づかされるような...。そこに等身大に近い自分の姿が見えるようだ。その姿は滑稽であるかもしれないが、それでも必死に生きている。
    物語は、あがいた先に安易な希望は見せないが、しかし金銭とは違う”何か”を得て、この場所を後にしているようで、そこに微かに差す光をみたような気がする。

    役者陣の演技は見事。しっかりキャラクターを立ち上げ、その悲喜交々とした演技が最後まで飽きさせることがない。常時登場している6人と教官役(香取佑奈サン)の艶ある演技(歌・ダンス?)が中盤の見所。実にバランスの良かった。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/01/28 17:16

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