ドロップイン・ヘブン 公演情報 ハイバネカナタ「ドロップイン・ヘブン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ドロップイン・ヘブン…ぶらっと立ち寄るような心地良い場所といったところか。タイトルにあるような場所が舞台になっているが、その美術が意味深さを表している。
    この公演は緩いサスペンス・ミステリー風であり、興味の持たせ方、その観せ方が巧い。
    時々、歌など余計なと思うところもあったが、そこは緩衝・娯楽として楽しむことにした

    ネタバレBOX

    舞台セットは、ヘブンリー・ヘブンという酒場。上手側にソファ、ローテーブルの客席がある。その奥に両開きの窓があり、窓ガラスの向こうに高層ビルが見える。下手にはカウンター、その上にラジオやピンク電話が置いてある。中央は店の出入り口になっている。このセットは多くが絵(トリックアート的か)で描かれており、その表面を取り繕ったような美術は、物語の底流にある疑心・嫉妬など人の心に蠢く不気味な感情を表現しているようだ。

    梗概…コミュニティ新聞の記者・野々々村は某記事に掲載された写真のカメラマン「カヨコ」を見つけ出せという依頼を受けた。やっと見つけて働き出した店「ヘブンリー ヘブン」にはカヨコが2人(加代子、香葉子)いた。探している相手はどちらだ?野々々村は調査を進めていくうちに、マスターや常連客の秘密に巻き込まれていく。表面的には市役所職員、バイトの劇団員、コンビニ店員、フリーカメラマンという平凡な人たちが集う、これまたありふれた酒場である。この写真に写っていた内容が秘密(パーティ、通称「モザイクの夜」)そのもの。カメラマンを探し全ての写真を回収したいというのが真の目的であった。そこには利権絡みの陰謀が渦巻く。様々な面倒臭さや秘密が不思議に絡み、 野々々村は”ヘブン”を見つける! 愚かしくも物悲しい、そんな”居場所”に翻弄される人々が ...。

    さて、常連客はもちろんマスターも気心知れた関係と思っていたが、そのうち不信・嫌悪・嫉妬など人の醜悪な面が表出してくる。
    大人はずるい、色々なものを沢山持っていて捨てられない。そんな子供の言葉が胸を打つ。その娘が慕っているのが母親である。しかし、母親を神様と思っているが、実は紙(幣)様で、風俗嬢のような。この母親も含め見かけだけの大人であり、仲間意識など、舞台美術同様、張りぼてのようで嫌気がさす。そこにマスターの思惑が…。

    スパイが登場したり、違法薬物、街再開発→宇宙施設の建設など話が散らかって収束させるのが難しいと思ったが、細かいところを凌駕するような人間ドラマ...そのブラック・コメディは面白かった。
    なお、ラストの化粧シーンは、どんな意味があり必要だったのだろうか?

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/01/24 18:44

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