満足度★★★
ラッパやはサラリーマン演劇を標榜して90年代の小劇場の中では異色の市民喜劇の劇団だった。サラリーマンの実感に基いた人情喜劇を時にはファンタジーに飛ばす主宰の鈴木聡の才に堅いファンがいた。そのファンも歳をとった。劇団も歳を重ねた。そのサラリーマンたちは今は主に40歳の終わりから50歳代。現在のパソコン片手の若手とはギャップがある。若手の仕事の進め方に馴染めるように「キャラ変」出来ない世代のサラリーマン喜劇である。流石に鈴木はうまいが、若手の生態が類型的なのが惜しい。彼らだって、それなりの切ない情熱をオフィスワークに持っているのだ。そこができていると重層的で面白い新しいラッパやが生まれたかもしれないが、それは次の世代の劇団の役割か。