ブリッジ~モツ宇宙へのいざない~ 公演情報 サンプル「ブリッジ~モツ宇宙へのいざない~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    サンプル的フィクションの性向がとりわけ先日のKAAT公演「ルーツ」との共通項で、見えて来た、気がした。両者芝居のタイプは全く違うけれども。「閉じた世界」の中で人間はどこまで反理性、否、理性の下で、異常になれるのか。もしくは私たちの間で通常語られる範囲の人間像は果たして、その本質を捉えているのか。
    昔、知らずに体験したカルト的な集団や演劇系のとあるワークショップを思い出し、あるある満載、ツボであった。

    ネタバレBOX

    観客を参加者に見立てた集会形式で、ステージに向かって右側に透明ビニルの幕、それを隔てた裏側(即ちステージ上手)にノートPCに向かう音響担当がいて、役者の指示で音出し=集会の演出のために=をする。ビニルを透かして音響係の向こうにこの施設の廊下が見え、時折(公演関係者でない)人が通る。
    では、これは何の集会か・・。それ即ち芝居の中身である。「モツ宇宙」観の普及を目指す「団体」の集会=ワークショップ?は、団体メンバー6人がこの会場に入場しステージ上の椅子に円弧に並んで座り、一人が司会に立ってから始まる。さあどんなやり取りが展開するのか。
    程よく「異常」と「正常」が交互に訪れながら次第に「モツ宇宙」へと「誘われ」るが、「異常」がフォローの許容範囲を超えて放射能漏れを検知するも、ドラマ的にはまだ「こういう団体があってもいい」範囲内を推移し、最後は駄々漏れ状態に至る。
    ドラマとしては、団体の様相が個々の抱える「痛い」事情が見える事で(興味深く眺めつつも)「教義」じたいの信憑性は色褪せ、最後に至ってカルト的な集団の成立ちを批判的に描写した芝居とも見える。
    が、むろん単純な科学主義からの宗教批判ではなく、「ある団体」を事例に展開した人間学のケーススタディの態で、人間の内面に潜む欲求や性向を人物に露呈させている。この各人の「露呈ぶり」がサンプルの「変態性」の所以でありこの芝居の目玉と言える。役者のキャラクター共々、ツボに嵌まったまま終幕へ連れて行かれた。

    0

    2017/01/15 22:30

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大