隅田川/娘道成寺 公演情報 木ノ下歌舞伎「隅田川/娘道成寺」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2017/01/13 (金)

    ネバばれ

    ネタバレBOX

    木ノ下歌舞伎の【隅田川】と【娘道成寺】を観劇。

    二本立てで、両作品とも単独の舞踊である。

    【隅田川】は、人買いにさらわれた息子(梅若丸)を探す母親の苦悩。
    白神ももこ(振付・演出)なのだが、共同演出で、杉原邦生が入っているからか、母親の苦しみを舞踊だけではなく、背景をぼんやりと見せてくるか、更に母親の悲しみを感じながら、共感してしまう。
    彼の演出と構成力は、毎作品ごと記憶に残る作品になっている。


    【娘道成寺】は、好きになった安珍に裏切られた清姫の話である。
    ついつい苦手な舞踊は、背景になる物語をなぞって見てしまい、踊りと物語の整合性を考えてしまいがちだ(男性観客に概ね多い)。
    だが、そんな事は如何に無駄か?という事を感じてしまった作品であったようだ。
    清姫がどれだけ安珍を愛していたか?
    そしてその愛の重さゆえに安珍が逃げてしまったのか?
    この踊りは、清姫の傲慢で、一方的な求愛を描いているのだが、その思いが狂気をはらんでしまえばしまうほど、嫌悪感と愛好感のバランスが取れてくるのが不思議である。
    最初は女性らしい清らかな紅い衣装を身にまとった踊りから、情念の度合いが増せば増す程、紅い衣装が剥ぎ取られ、狂気をはらんだ姿と踊りと表情に変っていく。そしてこの過程を得ていきながら、清姫が行き着いた先は、非常に美しい幕切れになっていく。
    今作は清姫の愛の過程、心情の変化の具合を踊りを通して感じる事が出来るのが一番の面白さでもあるのだが、それ以上に清姫が出した最後の答えを、どのように受け入れられるかで、己の愛の遍歴が垣間見えてしまうのである。

    踊りだけで言うと、シルヴィ・ギエムの【ボレロ】以来の感動である。

    とんでもない傑作である!

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    2017/01/14 10:26

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