テンテン 公演情報 劇団 贅沢貧乏「テンテン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    前半は奇才の予感。後半は若さゆえ・・♪
    ・・という事で、「終りよければ全てよし」の法則に従えば「惜しかった」という事になるが、それのみをもっては切り捨てがたい。

    ネタバレBOX

    たまたまレンタルDVDを観た主宰山田女史主演(の一人)の映画は若い世代感覚を映像化した秀作だった。
    今回が贅沢貧乏初観劇。山田女史の容姿を忘れていて(てっきり受付に居た方がそうだと)、のっけに登場するカップルの一方が、積極的にスキンシップする様を、全く違う印象で眺めていた(これを「やらせている」のが山田女史だ、と想像しつつ)。・・もっとも当人を認識した今でもこの舞台を作った才女の印象とは遠い。
    作品は前半に仕掛けた謎っぽい要素が解けて、割とよくある比喩であったと見えてくると、それって超普通・・と、汗が滲んでしまったが、「ああ、若い女性にとって出産・子育ての世界は未知なる大きなイベントであるし、まァ仕方ないか・・」と自分を納得させてしまった。出産子育てが陰鬱なトーンで描かれているなら、今日「あえて言う」意味はあるが、希望をもって語るに及び、「負」の要素をこれだけ取り沙汰しておいて、どう乗り越えたのか、疑問が湧いてしまう。
    無垢の胎児(あるいは胎児以前の「魂」?)が、出口を探し、とりあえず世界に飛び出るべし、と欲するのは分かる気がするが、そのことについての、「世の中」側の納得は、別だ。産まない選択肢、作らない選択肢とある中で、「作った」「出来た」結果である胎児の「とりあえず世に出たい欲求」を取り上げても、議論の上では「産まない」「作らない」選択によって胎児側の物語は前提を失う。それほど重要な議論が「不気味な出来事」の後になされていたのに議論を尽くしきれず、胎児らが勝手に大団円に持ち込んだというのが、戯曲から来る違和感だった気がする。
    もっとも、比喩的に描かれた他の場面も、どうとらえるかで物語の導く(議論の)方向性が違ってくる。戯曲が詰め切れなかった事に尽きるか、と思う。

    だがそれにしても、出だしから中盤までのシュールな場面の展開、挿入される病院や会議の場面は、何度も録画再生したくなる蠱惑的な代物だ(そこだけ切り売りしても売れる仕上がり)。
    その俳優の力、特徴ある登場人物に即した俳優をチョイスした眼力もあろうが、様々な演出的要求に応える働きぶりが印象的であった。
    装置もユニーク。キャスト、スタッフいずれの仕事もレベルが高い。

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    2016/12/17 01:29

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