俺んちに神様!? 2016 公演情報 タッタタ探検組合「俺んちに神様!? 2016」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    味わいある芝居
    神様が居候という、とんでもない笑い噺...このシチュエーションは、映画「生きる」(黒澤明監督)を思い出す。もっとも描き方や結末は違うが、自分の生き様を改めて考えさせるような…。
    (上演時間1時間50分)

    ネタバレBOX

    余命数ヶ月と医師に宣告された青年(落語家)が味わう不思議な出来事を荒唐滑稽、脱力コメディとして描く。昭和の風情が漂うボロアパートが不思議な魅力に包まれた異界の場所へ変化していくようだ。

    梗概...主人公は、落語家になりたくて親の反対を押し切って青森県から上京した青年・竹ノ条吉宗(佐々木優サン)、弟弟子にも昇進で抜かされるという覇気・気力のない流される生き方。そこへ余命宣告され...ありがちな設定であるが残された時間をどう過ごすか。それでも主人公は唯々諾々の暮らしぶり、さらには彼女・藤堂美咲(佐々木晴美サン)と思っている女性から適当にあしらわれ金だけ貢がされている。人生どん底であるが、神様は表立って助けてくれない。ただ飲み食いしているだけ。しかし、いつの間にか毎日の騒がしさに気が紛れ、死の恐怖を忘れているような可笑しみを覚える。
    一方、故郷の母親の手紙を読み上げる場面はジーンときた。

    舞台セットは、ボロアパートの和室...斜めに設営することで奇妙・歪な異空間をイメージさせる。押入れ・台所、隣室への戸。壁には三角ペナントが飾られている。途中で舞台が変形し宝船が出現する驚きを演出する。

    登場する神々は七福神、オオノブクロノミコト(実は貧乏神)、そして座敷童・美代、河童。一時的に死神や鬼も姿を現す。余命わずかな青年の部屋に集まった神々などがそれぞれ青年を気遣い、茶化しながら好き勝手に飲み食いし喋り、実に奔放な感じである。一見、青年の悲しみとは縁遠そうな仄々とした雰囲気の中、神々は確かに其々のやり方で「死」という掴みようのない宿命に謙虚に向き合っている。もっとも神様であり「死」そのこと自体に切迫感はない。むしろ、悪者・彼女への反発の方が印象的であった。
    ただ、中盤以降、暗転を多用した場面転換が少し気になった。

    公演の展開は青年に寄り添うもので、語り手のようなオオノブクロノミコト(谷口 有サン)の目は柔らかく優しい。脱力系演技と滑稽な演出が相まって大らかで即興的な芝居は観応えがあった。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/11/18 17:43

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