治天ノ君【次回公演は来年5月!】 公演情報 劇団チョコレートケーキ「治天ノ君【次回公演は来年5月!】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    目のつけどころ
    初演は駅前劇場の後方席で観劇、皇后の笑顔に白けを催した。大正天皇嘉仁を演じた西尾氏の演技が突出。歴史認識の面では、明治・昭和に挟まれたデモクラシーが花開いた時代とは言え、これを大正天皇の個人思想、資質に寄せ過ぎでは・・フィクションとしては面白いけども、という印象だった。
    が、すこぶる評判がよく賞まで取った。しかもあの皇后を演じた女優が・・という事で珍しく(会場がトラムという事もあり期待も膨らませて)、足を運んだ。
    皇后は内面を見せない「宮様」の所作をなぞり、その所作の中で精一杯「意思」を貫こうとする様が、今回は見えた。もっとも、意味的には、だから何だという話ではあるのだが。
    歴史の流れ(軍主導の政治)に抗えない個人、という意味で庶民と同様であった、という結論がそこにある。押さえるべき「問題」は、その抗えなさにある訳だが、抗えない中でも抗おうとした、その痕跡を示し、それを見る者が胸を打たれるというのは、忠臣蔵である。そういう感動の仕方を私は好まない。もし大正天皇もろとも日本の民主主義の萌芽が摘まれたなら、歯がみこそすれ涙などもっての外だ。全て今の問題だ。
     芝居は面白い。静謐な宮中でのやり取りが、抑制した台詞が、佇まいや儀礼的な所作が、可能な限り(実際そうなのかなと想像される形で)なぞられていて、その中での感情の昂ぶりも的確な温度で透けてみえ、そうした「現象」を味わう快さがある。そうして人物たちの内面がよく伝わってきた。
     大正天皇を俎上に上げた功績、という事になるのだろうが、しかし人間嘉仁物語、というのでもない独特なものがある。

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    2016/11/15 07:03

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