満足度★★★★
予想外のマクベス像
マクベスは幾つかの公演で観たことがありますが、公演の印象は、かなり主演のマクベス役にかかってきます。
私にとって今回、初の小劇場でのマクベスでしたが、起用された役者さんはその重要な役割を充分に果たされていたと思います。
そして本作で何より特徴的なのは史実に近いマクベス(本名マクベタッド)を描いた作品だという事です。
史実に近いといっても、結構盛ってる内容なのですが、シェイクスピア版とは登場人物の人物像、志向性が全然違っいて、そのあまりの違いっぷりに驚いてしまいました。
ひとつ挙げるならマクベスってかなりの名君だったということ。
ヒーロー感すらあるマクベスでした。
実はどんだけマクベスを悪い人格に書いていたんだというシェイクスピアの脚色っぷりという事になりますが、やはりこちらの方が面白さ的には勝ってしまうんですよねー。
とは言え、本作のタイトルにもなっている「モロク」という魔人の登場や、意外すぎる人間関係がドラマを生み、とても楽しめる内容になっていました。
ちょっと残念なのは若手の役者さんに笑いで少し話を軽くしようと試みるも、笑いも結構技術が必要なんですよね。 ベテラン役者さんの取る笑いとの実力差がはっきりしていました。