満足度★★★★
約100分
演劇の原始態ともいうべき、子供たちの“ごっこ遊び”を観ている気分に。
一人何役も演るところも、演者同士が時に応じて役を取り替えるところも、時間軸にとらわれずに話が進むところも、ファンタジー色が強いところも、まさに“ごっこ遊び”。
ただし、子供たちのやる即興的ファンタジー劇とは違い、当公演にはちゃんとした台本があり、練り込まれた演出に基づく演劇的洗練があり、そして何より、すこぶる芸達者な看板女優がいて、その豊かすぎる表現力で可笑しみや悲しみをこれでもかとブースト。
お陰でとても面白く鑑賞。
『棘』は、私にはちょっと難解だったが、それでも楽しめたのは、芸の域に達している彼女の演技の支えがあったがゆえ。それがなければ、『棘』は、鼻持ちならないアート芝居に堕していたかもしれない。
こんなことを書くのは余計なプレッシャーをかけてるみたいでアレですが、運と人にさえ恵まれれば、この女優は熊本を飛び越え、いずれ全国区の存在になるでしょう。