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libido:「
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たんげ五ぜん(452)
満足度
★★★★
今、この戯曲を、、、
戯曲の面白さ、複雑さが伝わってきて、よかった。
ネタバレBOX
前半は、清水邦夫が、六全協以後、60年安保前後の新左翼における正義と暴力の問題を、明治期の自由民権運動と重ねることで描いたのだなということがよくわかった。暴力闘争の維持を選んだ新左翼の暴力は本当に正しいのかという批評と葛藤。
この段階では、なぜこの作品を今演出家の岩澤哲野氏が選んだのか、まったくわからなかった。時代状況が違いすぎる。シールズであれ、現代の左翼であれ、暴力革命を叫んでいる者などいない時代に。
後半で、署名人が日和見主義の一般大衆の姿なのではないかと見えてきて、やっとこの作品を今日やる意味を見いだせていった。暴力を否定し、平和を叫びながら、同時に無関心でしかない現在の大衆の姿(もちろん、かつてもだが)。しかも、殺人をあれほど否定していたその署名人が、最終的には殺人を肯定していく部分などは、原発をあれほど支持していたのに、いざ事故が起こったら、鬼の首をとったように政権批判に転じたり、豊洲のことなど無関心でしかなかった者が急に都議批判をしはじめたりする姿そのもの(政治に限らず不倫バッシングとかも)だと思った。過剰に読み込めば、平和を一方で語りながら社会保障は税金の無駄(=障害者は死ねばいい、老人は死ねばいい、生活保護者は死ねばいいなどの考え)と言う者のことにも重なって見える。自分が少しでも楽になるためには、結局否定していたはずの暴力も肯定していくという。そういう意味では、この作品を今日上演する意味を強く感じた。
アフタートークで、岩澤氏は看守に大きな意味を見出していると言っていた。看守は傍観者でしかなくそれは私たち自身の姿でもあるということだろうが、理屈ではわかるけれど、それを上演から私は感じることができなかった。
作品を解釈しながら観ると、上で書いたように、とても興味深く観ることができたけれど、すべては観念。感覚的、身体的に、何か切実なものは感じることはなかった。演出家であれ、役者であれ、「この作品を今の時代に上演する意味」を突き詰めて考えられていないからではないか、という気がした。
【蛇足】アフタートークは、岩澤氏と氏が以前から演出助手などで付いている杉原邦生氏との対談。先輩である杉原氏からの公開ダメ出しという感じで、正直、楽屋でやってくれと思った。舞台に上がったら、対等な演出家同士。上も下もない。杉原氏の指摘に対して、きちんとした反論をするか、そんな部分は重要じゃないと突っぱねるかすればよかったと思う。杉原氏の指摘は「その通り」と思うものばかりだったけれど、もっと別のことを考えて岩澤氏は演出していたのではないのか。オール5がとれる演出家なんてプロでもいない。杉原氏にも負けないものを持っていると自負しているから、岩澤氏は自分で演出しているのだと思う。ならば、その点をただ言ってほしかった。ヘコヘコしかできないのなら、身内の先輩など呼ぶべきではないと思う。
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2016/10/06 23:23
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