満足度★★★
月の剥がれる
殺人(主に戦争らしい)に抗議の意を表明するために自殺する。命を賭けた抗議と言えば聞こえはいいが、自殺した本人はその死が果たして意義があったものかどうか確かめようがないのである。そればかりかその思想を持つ平和団体さえも、偉い人たちは会員を増やして自分は死ななくてすむように画策しているだけで、自分たちの行為の確証さえないように見える。そんな団体でもまっとうなものとして受け入れられてしまう流れが恐ろしい。
散華のメンバーだった元フリーターの男が「アルバイトで生計立てて、それでもなんとかやっていけて、たまには焼き肉とかも食べられて特別何もなくて生きているのはいけないんですか?」と言うセリフが胸に刺さる。特別なことなど何もなく生きているから。とても考えさせられる舞台でしたが、登場人物にどういう人なのかわからない人がいたり、ダンスの意味・意義がわかりませんでした。終演後主宰さんを捕まえてお聞きしたところ「言葉のさらに先にあるものを表現したい」とのことでしたが、私から見たらあんなに長くはいらないんじゃないかと。上演時間だって短くできるのではないかと思ってしまいました。