圧倒されました!
初日、観て参りました。圧倒されました!原作も原作者も、この舞台の台本作者も存じ上げないので、以下、今日の舞台を観た限りの感想です。
◆戦争をテーマにした舞台や映像作品は登場人物の生き死にに焦点を当てたものが多いのですが、この作品は個々人の生死よりも、戦争によって引き起こされる様々は事象を訴えてきています。特に日本人にとって戦争が何であったかという問いかけが、この作品の真のテーマであるように感じました。
◆日清・日露・日中と大陸で泥沼化した戦争を続けた後、東南アジアや太平洋にまで戦争を拡大し、初期の欧米諸国に対する戦勝、植民地の引継ぎ、アジア諸国の統治、敗戦・米軍による被占領、戦後の一部軍人の戦闘継続&旧支配国に残っての独立支援、敗戦国の国民、戦場を体験した軍人の心・ひいては戦勝国側の一方的な歴史感への疑問・・といったものを架空の物語設定、且つ御町内の裏社会の権力闘争というように矮小化してエンタメ作品の華やかな舞台のオブラートに包んで問いかけています・・いえ正確に言うと、そのように感じました。上演時間も異例の3時間という壮大な作品になっています。
◆私自身は、作品のストーリーが問いかける意味を味わうよりも役者の演技を観たいほうなので作品に対する際立った感想を持つこと自体が極めれて稀なのですが、今回ばかりはズッシリ心に食い込んみました。見る前は、もっとオチャラケタお話しだと思ってたものですから。
◆とは言え、やはり舞台は基本的にはエンターテイメントですから、そっちの話も少々...この舞台、カッコいい男性役者が揃っていることもあって今夜は女性客が多かったような気がします。私は男性なので、男性役者陣の活躍の話は女性観客の皆様に譲ろうと思いますが、役者陣は全体的にオーソドックスな正統派の演技でストーリーこそブッ飛んだ話なのですが、演技は極めてマットウで安心して楽しめました。一方、女性役者陣は安定した芝居できっちり演じてましたが、私が、この舞台を観に行くきっかけであったアマンダ役『伊藤えみ』は登場メンバー中最も派手な衣装を纏いながら心理的に複雑な芝居を演じる訳ですが、男を誘惑(?)する表情や役に合わせた声使いは、彼女の美しい顔立ちもあって説得力十分で、彼女にとっては新しいタイプの人物でしたが、今回も役柄が憑依するような変身能力を存分に満喫させて頂きました。実は、顔色も役に合わせて暗めのドーラン使ってるのかなとも思いましたが、後でロビーでお会いした時は、いつもの色白の顔色で、暗めの顔色は照明の効果だったのか演技による紅潮だったのか・・いずれにしても舞台上との印象差が大きいものいつもの通りでございました。それからステラ役の舞原さんもチョッピリ気になりまして、他作品でも見てみたいなあと思いました。
◆以上、初日の感想でございます。