朝食まで居たら? 公演情報 劇団青年座「朝食まで居たら?」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    上手い
     尺が長い作品である。途中15分の休憩を挟んで2時間40分。だが、粋な科白劇を本当に上手い役者が演じて長さがちっとも苦にならない。流石、青年座といった所か。

    ネタバレBOX

     時は1970年、ヒッピーがまだごろごろしていた頃だ。ロンドン郊外のアパートに住むジョージの所へ、床が抜けるのではないか? との大騒動の後、ルイーズが転がり込んできた。1週間ほど前から階上のデイビーの所へ転がり込んでいたのだが、喧嘩して飛び出してきたのである。おまけに遠慮も会釈もない。恰も自分の家に居るかの如く勝手な振る舞いをし、スラングを多用する。更に彼女は臨月なのだが、父親は無論デイビーではない。ジョージは堅物の公務員で、35年間無遅刻・無欠席を誇る部長である。階層性の著しいイギリスでは、スラングを多用すること自体、既にドロップアウトしていると看做されても仕方のない所だし、ましてジョージは堅物が嵩じて離婚したのも同然の人間だから、まるっきり真反対の性格である。ルイーズはこともなげに金までせびるのだが、この全く対極にある二人は、ぎくしゃくしながらも交情を深めてゆく。何と言ってもジョージは紳士であり、如何に常識外れのヒッピーの小娘とはいえ、臨月の娘を屋外へ追い出す訳にはいかないからである。そうこうしているうちに、彼女は産気づいてしまった。
     第2幕は出産後も彼女がジョージの所に居座っている所から始まる。上演中なので、これ以上は書かないでおく。原作は外国の作品だが、訳が素晴らしく翻訳物に感じる違和感は全然ない。小粋な科白の応酬と達者な演技が素晴らしい。殊にルイーズが吐く科白は、嘘と
    虚栄の世の中を、時に鋭く風刺するような裸の言葉であり、時に深い陰影をも持ち合わせる。
    時折、階下へ降りてくるデイビーとジョージの関係の変化も見所

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    2016/09/10 05:29

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