錆びたスピーカー
舞台セットもよかったが、
何よりも舞台左に鎮座する電柱の上に無機質に取り付けられた錆びたスピーカー。
これがこの舞台そのものを象徴する指針となり心に残る。
物語は正直、進行しているのか展開しているのか、
その辺りが僕の中には全然入り込まなかった。
そこはすみません。
だが、
この作品は挑戦しているのだということは感じ取れた。
エンタメを排したエンタメを目指しているのかもしれない。
そんな不可思議なワードが頭に思い浮かぶ。
もう、全然ワクワクを殺して、
世界がゆっくりと動いて、
そして村(?)町(?)に錆びたスピーカーからの情報垂れ流し。
世界観に酔い痴れても、
登場人物にも寄り添えない。
ある種、受け付けない、受け入れられない作りをする覚悟が見えた。
ただその理路整然とした退屈を愉しむ人間は存外少ない。
そこに真っ向から斬りつけた方向性の意気やよし。
とも思う。
お疲れさまでした。