フィニアンの虹 公演情報 Seiren Musical Project「フィニアンの虹」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    魅力的な舞台...【RVメンバー】
    この「フィニアンの虹」(原題:Finian's Rainbow)は、1947年にブロードウェイで初演されたクラシック・ミュージカルであるという。今から約70年前の内容であるが、この物語に描かれる社会問題は今でも身近にあると思う。
    当日パンフの企画挨拶(内海和花・加藤真衣・樹林杏さん)の連名文に、今だからこそ上演する意味があると書いてある。

    公演は、脚本はもちろん、ミュージカルとしての演出(音楽、美術、照明など、詳細を書くには紙面が足りない)は、観客に楽しんで観てもらう、そんな意気込みが感じられるもの。
    制作面では、若い人(大学生が多い)が丁寧に会場案内をするなど心配りが良かった。

    なお、70年前の内容であるため気になるところも...
    (上演時間全2時間30分:前半1時間30分、後半50分、休憩10分)

    ネタバレBOX

    舞台セットもしっかり作り込んでいる。段差のある舞台を森の中と思わせるような幕で囲い、上部には葉が生い繁っている。下手側に大きな木が生えている。また、平板の両側にレンガを模した壁がある。

    梗概..フィニアンは.妖精オッグから盗んだ魔法の金の壺(3つの願いを叶える)を持ち娘シャロンとアイルランドからアメリカのレインボーバレーにやってきた。その地はローキンズ上院議員が手に入れようと目論む土地だった。 村の若者ウッディと恋に落ちるシャロン。某日、ローキンズに侮辱された村の黒人をかばい「あなたも黒人だったらいいのに」と叫ぶと、壺の魔力でローキンズは黒人になりシャロンは魔女裁判へ。 追いかけてきた妖精オッグは壺を取り戻せるのか。

    この公演のテーマは一目瞭然...貧困や人種差別などである。表層的には、黒人差別を通して他の差別も見せる。例えば、劇中でアイリッシュダンスを踊っているが、イギリスによるアイルランド支配によって、ダンスを含めた伝統的文化活動が禁止される。窓外から見ても、上半身は動かさず下半身だけで踊るダンスが生まれた。

    ミュージカル...その地声は個性的であると同時に、歌い方に工夫を凝らしているような。歌い出しではないが、敢えて”しゃくり”のような低音で歌うところが聴かれた。

    さて、気になるところ。
    夢を叶えるために妖精から魔法の壺を盗んでいるが、レインボーバレーでの夢とは何か。それもある期間だけ滞在するようであった。貧困が関係していることは想像できるが…。そして金の壺が、願いを全て使い切り、妖精が人間になり自分の故郷(妖精)へ戻れなくなった。この故郷に帰れなくなったことは、日本の歴代内閣が重要案件にしているあのことを連想してしまう。
    次に、全ての川(河)にダムを建設し電力を、という合言葉。日本との国情や時代背景は違うが、現代的には環境との調和も意識した台詞があっても...。
    最後に妖精オッグが、当初シャロンに恋したが、失恋後すぐにスーザンと恋仲になる。人間の女性の温もりを感じたとはいえ、心変りが早いような(妖精だから、そんな感情になったのか?)。

    全体を通じて魅力的な公演であった。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2016/08/27 23:30

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