七人は僕の恋人 公演情報 大人計画「七人は僕の恋人」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    「べったり」or「突き放す」
    とにかく、とんでもなくくだらない、下ネタオンパレードのコント集。どこまでアドリブなのかわからない、一回限りの瞬間にふくらむエネルギー。役者たちも大変だろうけど、観るのも大変。体力勝負。笑った。とにかく、疲れた。

    ネタバレBOX

    生徒8人、離島の分校でのオナニーをめぐるコント、本番だけ方言だらけになる地方のテレビ局コント、田舎の集落の労働者たちがM1を目指すコントなど、限定された地域を舞台にしたコントが目についた。

    大人計画に全く明るくない僕でも、観ているうちに自然と入ってしまうくらい、俳優たちがキャラ立ちしているので、ファンならもっと楽しいだろうし、そうでなくても大丈夫。どんどん暴走する舞台に、三分の二を過ぎたあたりから、笑い疲れもあって、客席は、笑いよりも、大丈夫なのか、とはらはらしながら舞台を見守る。このギリギリのボーダーを疾走する感じが、置いて行かれる客席に妙な一体感を生み出す。不思議。

    いつのまにか、全然知らない俳優たちが、好きになっていて、おどろく。でもそれは、こっそり好きでいたい感じのそれだ。劇場は、秘密のファン集会みたいな雰囲気になって、なんだかそれは、コントの舞台の、限定的な人間関係の空間と重なっていくようだった。だから、劇場を出るとき、ほっとしつつも、少し寂しい。あんなにくだらなかったコントたちが、なんだか、切なく映る。

    最後のコントは、50を過ぎてもアイドルをやめられない男と、ファンをやめられないおばさんたちのコント。男は、医者に止めれられても、義理の息子に「気持ちわりー!」と殴られても、やめられない。おばさんたちは、彼が麻薬をやっていても、カツラだと知っても、やめられない。ホテルの部屋を借り切ったファンクラブイベントが終わって、みんな布団に入ったところで、「本日の公演はすべて終了いたしました」のアナウンス。そのまま、幕。カーテンコールもなし。最後まで置いてけぼりの客席は、それでも暖かい拍手を送る。

    こんな夢オチみたいなコントで終わらせてしまうのが、すごい。それは、なんだか、べったりついていきたい、今のファンとの関係を、突き放すものでもあるからだ。ついていく安定をとるのか。不安定でも距離をとるのか。与えられる二択が、どちらも少し極端にすぎる気がするが、それは「関係」をめぐる問題そのものである。このギリギリのバランス感覚に、今をみつめるしたたかな目を、感じる。観客の態度が、試されていると思う。

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    2008/12/05 23:57

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