満足度★★★★★
マルホランドドライブが日常に降って来たかと思った。
<戦争>
男女反転するとこんなにも痛々しくなるものか、と。
男にはあった余裕が女にはないものなんですね。逆だと思ってたのに。
ただ女の子が「戦場に行った」という方がより打算的。
最後五味さんが外の世界に殴り込みに行くのは、前の男性のときはものすごいヒーロー的だったけど
女性になるとほんと捨て身。悲しくなりました。
青木さんは女性になるとぐっと魅力的ですね。
あとフリッパーズの小山田の方がやたら好みの顔でした。
<赤鬼>
最初は話の仕掛けが気付かなくて、
結局一番強者とされてる副所長が一番イタい、みたいな話かと思ったけど、
最後の方の、鬼塚が不二家の箱を持って出てきたシーンでわーっと。解けました。
これは和田さんが見た夢で、夢っていうか、眠って見た夢でもあって願望の夢でもある。
鬼塚をやったのは野間ではなくて自分ではなくてはならない、
なぜならそれが町子が戻ってくる理由だから。
だから、町子が別れたいって言ってきたときに
その新しい男を殺すというのは和田さんの夢見たことであって、
それが昏睡の中で実際に夢で出てきたことでもあった。
というのがわたしの解釈です。
殺したのが野間じゃなくて「自分でなくてはならない」というのが
一番の根底じゃないかと思ってます。
「マルホランド・ドライブ」でダイアンが死ぬ間際に(もしくは死ぬその瞬間に)
自分の理想像としてベティの夢を見たように、
和田さんも昏睡の中で、自分の願望通りに進む夢を見た。
ハセガワアユムさんがblogで文学を叫んでいた意味もものすごく分かったし、
わたしにとって「マルホランド・ドライブ」ってすごく特別な映画なので、
こういう形で再会できて、それも驚きでした。
あれはデビッドリンチにしかできないもんだと思ってましたよ。
それが東京の、日常に降ってくるなんて。最高。あーもう1回見たい。