満足度★★★★
死ぬという意思は…
死期が迫ると身につくものなのだろうか?
多少歪でも「生きる」ことはできるが
自殺以外で「死ぬ」ことは意思決定できるのだろうか?
「呆け」「介護」という事が現代日本には溢れている。
死ぬことさえ忘れてしまったのかと思える老人も増加するのだろう。
家族はどう対処すべきなのか?自らの生活を投げ出すことでしか「介護」は解決しないのか???
本作はしかしながら、呆けのもとで生きる人間の尊厳を謳っているようだ。
登場人物皆がそれぞれ事情をもっている。生きることに疲れ、死を選択しようとしながらも、それを結果的に乗り越えている。
「生きる」とはどういうことなのだろう?「死ぬ」その瞬間まではとにかくも生きているのだ。
個人的にはそんなことを考えさせられた。
いつもながら、物語に心を奪われる。良作。
多少希薄な語り口が気にはなったが…。