絢爛とか爛漫とか〜モダンガール版〜 公演情報 劇団テアトル・エコー「絢爛とか爛漫とか〜モダンガール版〜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    自分の好み...秀作です
    テアトル・エコー5階稽古場で観るのは初めてである。そこにはしっかりセットが作られており、物語は説明にある うつりゆく季節が風情豊かに映し出される。
    とても丁寧な制作で自分好みである。
    登場人物は5人...女性4人と姿は見えないが、下働きの男性(りょうた)が...。ここには昭和(初期)という空間を見事に出現させ、当時の女性たちの生き様を心情豊かに描く。
    (上演時間前半60分、後半65分 途中休憩15分 全2時間20分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは和室・縁側...上手は玄関や母屋に通じる襖戸、その客席側に蓄音機、下手に座机、鏡台が置かている。さらに下手側は厠という設定である。中央には季節によって違うが、丸卓袱台がある。三和土に赤い草履。

    「昭和モダン」と呼ばれた時期の女性4人が集まり、熱心に小説談義をしている。その「書く」ことに対する色々な思いが、各人の視点で語られる。梗概...説明から抜粋「デビュー作以来、一本も書けていない作家・文香の部屋に集まってくる作家仲間のまや子、すえ、薫。才能とは、自分とは何か。葛藤、羨望、嫉妬、友情、そして恋」を心地よいテンポで描いている。その思いは情熱的に、また叙情豊か、そして深淵を見る時もある。ラスト、文香がまや子に新作の構想を語る場面は圧巻である。自分の文才に疑問を持ち、足掻く心の中(うち)を書いたような物語(「湧き水を足で掻き回して濁している」との台詞に呼応して)...なぜか落語「紺屋高尾」の等身大の正直職人と心優しき花魁のことを想像した。訥々と語る文香...照明で彼女を浮き立たせ、その光の中での長台詞は心魂揺さぶられる。

    この公演の見所、それは4人が典型的な当時の女性像を表していると思われるところ。文香(さとう優衣サン)は、文学で身を立てたい。その才能と向き合い苦闘する姿が知的女性のようである。まや子(吉田しおりサン)は、先進的であることを望みつつも奔放と古風の両面(客観性)を持つ。評論家志望。すえ(志々目遥菜サン)は、旧家に育ち父母の愛情に疑問を呈しつつ、母への反発が父への思慕へ倒錯するような。猟奇・狂気という作風。薫(大森柚香サン)は、庶民派の代表のようである。自由な発想と創作姿勢が生きた文学になる。実は子供が産めないため離縁された経験もある。当時の「家制度」を考えさせる。

    この4女優の演技が実に自然で...芝居の面白さを堪能させてもらった。
    そして、この四季折々を表現する演出が見事。春は桜と花びらが舞い落ちるさま、夏は青葉繁る、秋は中秋の名月とススキのゆれ、冬は枯れ木と雪...というように陰影する。公演全体の時の流れに人の心の移ろいを投影し、余韻を残す。もちろん、衣装も季節に合わせて変わる。自分好みの見事な公演であった。
    矮小なこと...まや子さんのストッキング、昭和初期にあんなお洒落なものがあったのだろうか。最前列の至近距離で観ており気になったのだが...。

    次回公演を楽しみにしております。

    0

    2016/07/18 09:36

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大