死んだ赤鬼/戦争に行って来た(反転) 公演情報 MU「死んだ赤鬼/戦争に行って来た(反転)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    両A面と冠を付与するにふさわしい2作品
    サバイバル・ホラーと不条理なサスペンス、両A面と冠を付与するにふさわしい2作品でした。

    2作品とも上演時間はそれぞれ約45分。あいだに休憩時間が約15分あります。両方観てだいたい2時間弱ぐらい。ちょうどいい時間。ストーリーも理路整然とまとまっているので観やすい。

    まずはじめに『戦争に行って来た(反転)』からスタート。
    掃いて捨てるほどあるウソと現実。
    よくある日常の風景のはずなのに、人質となった恐怖体験を経た彼女達には異質な世界に感じている。
    ルポ写真の向こう側、喫茶店の窓ガラスの向こう側では戦争がある。
    生き残るか、殺されるか。
    物語を観て、不条理なサバイバル・ホラーだなと感じました。

    『戦争に行って来た(反転)』で印象に残ったシーン。
    「現実をなめんな!」というセリフ、恐怖におののいている件(くだり)が鮮明に記憶に残っています。


    休憩の後に続いて『死んだ赤鬼』がスタート。
    物語はサスペンス。
    弱い人間は、誰とでもなかよくしたいと思っている。
    『泣いた赤鬼』の童話になぞられて赤鬼と例えている。

    強い人間だって皮一枚はがれると、か弱い。同じ人間、赤鬼。
    強い人間が赤鬼を死なせてしまった。
    強かったはずの人間が、あっけなくもろくなる。
    物語の結末は意外なものでした。

    『死んだ赤鬼』で印象に残ったシーン。
    男二人が、ある小物を鼻と口の上にあてて呼吸するシーンがあります。
    実は二人とも病室にいるらしい。実際はよくわからない状況なのです。
    まるでベットの上で酸素吸入器で生きるか死ぬかもがき苦しんでいるような姿に見えました。

    ネタバレBOX

    『戦争に行って来た(反転)』

    掃いて捨てるほどあるウソと現実。
    男女それぞれのグループでカネと恋愛の駆け引きを始めていたはずなのに、知らないおじさん(怖いお兄さん)たちとの戦争になっていく。
    窓ガラスの向こう側は戦場。生き残るか、殺されるか。ボールペン1本で立ち向かっていく。現実をなめんな。

    濡れたジーンズ。毎回、水風船かなにか仕込んでいるのには大変な労力がかかっているだろうなと思います。乾かすか、他のジーンズを複数用意していたりするのではないかと思います。

    反戦家のリーダーの女性より、バンドのマネージャーの男が一枚上手だった。
    バックマージンをより多くもらうよう仕向けたはずなのに、利益を100パーセント全部もっていかれた。

    他の方のコメントで「誰が被弾したのかわからない」とありましたので、僕が観た記憶を話します。

    フォークバンドのデュオが、撃たれた由季(あがさ)が車の中に押し込まれたのを、喫茶店の窓ガラス越しに見ていた、と思います。

    圭(カメラマン)が改造モデルガンだったから役に立たなかったのではというセリフを言っていたように記憶しています。
    由季(あがさ)が改造モデルガンを撃ったときに暴発したようです。
    印宮(ヤクザ)にはあたらなかったのではと思います。
    外の銃撃戦では返り討ちにあったと思います。
    銃声は1発か2発。聞こえにくかったのが原因の一つかもしれません。

    (舞台裏ではクラッカーか銃のおもちゃの火薬を鳴らしていたと思いますが)

    逆にヤクザに命中して、女の車に乗せたと仮定すると、喫茶店の外から様子をうかがっていた「知らないおじさん(槇原組のヤクザ)」が黙って見過ごすとは思えません。

    状況的にリーダー、マネージャーを含め3人ともやられた。
    カメラマンとバンド・デュオの3人がボールペンで目つぶしを狙って玉砕する。

    こういう結末を迎えただろうと思いました。

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    『死んだ赤鬼』
    物語の結末は夢オチだったけど、話の展開や演出が素晴らしかった。
    先を読ませない。

    切多摩湖のほとりに死体を遺棄する、完全犯罪を狙う展開が、エンディングで実は夢・まぼろしだったとわかる。
    殴り殺してしまった元・彼氏が、2度も言ったセリフに納得、合点がいくようになりました。
    「足にボールペンを刺しても痛くもなんともないんだ。これは夢にちがいない」

    物語の冒頭、警棒で殴らないでからエンディングまでのわずかな時間に、元カレの頭には、妄想をふくらませる何かが分泌されていたのです。

    2作品とも不条理ながら、体と脳がぞくぞく震えてしまう、両A面級の作品でした。

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    2008/11/28 19:36

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