Longtemps, longtemps, longtemps après que les poètes ont disparu leurs chansons courent encore dans les rues…という、あれである。試みに私訳を記すと、詩人たちが亡くなってずっと、ずっと後になっても、彼らの創った歌が、幾多の道を流れる・・・。(興味のある方は、自分で歌詞を見付けて仏語辞書を引いて訳すと良い。簡単なフランス語だからちょっとフランス語に興味があれば、訳すことができよう。但しネット上で見つかる資料には間違っているものもあるから注意!) 前置きが長くなった。今作は、地方で金物屋を営む男が、人生の備忘録にと書き、出版社に送った小説の原稿が高い評価を得、権威ある文学賞の最終候補に残ったのだが、今日は、結果発表の当日。何となく落ち着かない新米作家の下には、地元紙、全国紙、スポーツ紙の記者、地場TVのレポーターらが、受賞関連の取材に押し掛けた。4人残っていた最終候補者のうち2名が抜けた。そのうち1名は盗作疑惑、1名は、ノンフィクション賞を目指していてプライドが許さない為の辞退であった。残り2名だから一騎打ちである。 初日が終わったばかりだから、ネタバレはこの程度にしておく。何れにせよ、緻密な作りで、地方の日常のゆったりした時空に緊張感と慌ただしさ、降って湧いたような状況下であれこれ惑う人間という生き物のチグハグな可笑しさが、各々の役者たちの佇まいと醸し出す陰影に彩られて実にしっとり描き出されている点は、流石にSpiral Moonの芝居と観客を唸らせる。おまけに、実力者揃いだからできる、途轍もない可笑しみが演じられる。それは、全員無言で同じ方向を向いて、恵方巻きの代わりに巻き寿司をもぐもぐ食べるシーンなのだが。何故こんなに可笑しいかと言えば、演出以外の部分で、恐らく個々の役者が己の想像力や悪戯心を解き放ち、自ら工夫したことをし始めると、最初に何かを始めた役者に呼応する感じで、他の役者達がアドリブで合わせていっているからではないか? 自分にはそんな気がした。ホントに途轍もなく可笑しいのだ。 「詩人の魂」に関することは、後に追記する。お楽しみに。