保健体育B【終演しました!ご来場ありがとうございました!】 公演情報 20歳の国「保健体育B【終演しました!ご来場ありがとうございました!】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    エロスと青春のバランス感覚
    私の「一度の観劇でのキスシーン目撃回数1位」を、あっさりと更新する勢いの本作だったが、不思議にいやらしさを感じず、不快にならなかった。「本当に始まるのは唇以外への場所への口づけからだ」と山田詠美は著書『マグネット』で書いているが、それが本当だとすれば、唇へのキスというのはただの助走にすぎない。20歳の国「国王」を名乗る作・演出の竜史は、そうした、エロスを設計するバランス感覚が秀でている。キスそのものよりも、腰をなでる手つきの方を、よほどセクシーに見せてくるのだ。だから、ぱっと見の生々しさに辟易することなく、穏やかな気持ちで大量のキスシーンを浴びることができたのだろう。

    20歳の国はいつも、一方通行の片思いなどの人間関係の組み方が巧い。相関図などの説明ナシで観客にパッと関係性を掴ませる脚本の技量は見事。スタンダードな青春群像劇だけに、場面転換のやり方などがストレートすぎるところもあるので、技巧を凝らす余地は大いにあると思う。

    ネタバレBOX

    ホモソーシャルなカラオケ屋の男たちの中で、メイコ(長井短)がモノのように扱われるのが、あわれだった。遊び場の少ない、地方都市の高校生たちの姿がリアルに描かれていたが、登場人物たちが17歳よりもっと大人になったら、より複雑に感情の入り乱れた性愛群像劇になりそうだ。今作でも、教師や店長、小説家など、大人の世界も徐々に垣間見えてきて、これからの作品もぜひ観ていきたい。
    「登場人物の中で付き合いたいのは誰ですか?」「登場人物の中で友だちになりたいのは誰ですか?」などの項目がある公演アンケートもおもしろい。

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    2016/06/13 23:08

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