満足度★★★
盲目少女の悲話と姉妹のブラックコメディ
最近観る舞台で配られるプログラム。役者の経歴やフリートークは掲載されているけれど、肝心の役名が書かれていないケースが増えてきた。見終わった後、「○○役の××という役者」と舞台感想を思い浮かべられないのは残念。実は今回の舞台も、役名と演じた役者の名前と顔が一致するのは、盲目少女を演じた知人の高坂汐里のみ。ん~、後日に書く感想としては、実に書きにくい(苦笑)
タイトルにあるミツヲ。舞台に出てくるのは、3人のミツヲである。
両親に先立たれた姉妹(実は、姉は数年前に死んでいるお化けという事が、舞台後半で明らかになる)。良い子になりなさいといって姉にしつけられる妹は元ヤンキーから今では更生し、今では姉妹で不幸な人を自宅に招いてもてなすのを日課としている。そこに偶然やってきたNHKの集金人は、この家に掛けられたいた良い言葉で有名な相川ミツヲの問い言葉カレンダーを見て彼のテレビ番組が始まることを姉妹に伝え、自らも彼のスタッフの一員となる。さて、この姉妹の元に招かれた盲目の少女マサミと付き添いで彼女を慕うチンピラのミツヲ。そのマサミは近々この姉妹が保証人になって目の手術を受けることに。しかし、彼女が盲目であることを良い事に今まで彼女はブス、自分はハンサムと正反対なことを言っていたチンピラ・ミツヲはうろたえ、結局救いを求めて相川ミツヲのスタッフに。しかし、、相川ミツヲの教えに疑問を持ち、スタッフに後頭部を殴られて・・・その姉妹の更生した妹は、同じく更生した昔のヤンキー仲間だったミツヲとの結婚を姉に反対され、死なないお化けの姉をバラバラにして海(川?)に沈める。
問題は、盲目のマサミ。手術を終え目が見えるようになった彼女は、今まで一緒に過ごしていたチンピラ・ミツヲを探すが、どこにもいない。そして、彼女は例の姉妹の妹と、今では不幸な人をもてなす生活。そんなある日。記憶喪失になった盲目の男性がやってくる。姉妹の妹が驚く中、彼の口からチンピラ・ミツヲの口癖「ベロリンチョ」という言葉の出るのを聞いて、彼を抱きしめ泣き崩れるマサミであった。
この舞台の中心は、姉妹と、盲目の少女&チンピラの4人と胃って良いだろう。正直、相原ミツヲやそのスタッフたちの演技は未熟であるし、演出的になにかもう一工夫ほしかった。
映像にしろ舞台にしろ、動物を出すか何らかのハンディキャップを持った人物を出すと感動と涙を引き出せるというのが一種の常識となっているが、今回の舞台は盲目というハンディキャップを取り上げており、結果として結末で目の見えるようになった女性と今まで世話をしていた男性がどのような形で対面するのかが感動の度合の分かれ目になった。その意味では。この女性役である高坂とチンピラ役(役者名がわかりません)の二人の演技が物を言った。最終場面で会場の多くの観客が泣いていたのは、演技だけでなくハンディキャップを扱った工夫の重なりから感動した結果。こうした感動の常套手段を安易に使わずに観客を感動させられるかが、この劇団に課せられた課題であろう。
個人的には、終盤の高坂の演技には拍手を送りたい。