なだぎ武・山田菜々主演「ドヴォルザークの新世界」 公演情報 劇団東京イボンヌ「なだぎ武・山田菜々主演「ドヴォルザークの新世界」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    なだぎ武すごいわ
    なだぎ武さんの演技力に圧倒された。
    アメリカの太陽を見て一緒に泣けてくるとは思わなかった。
    鍛えられた声と台詞の間の良さ、軽快な身のこなしなど素晴らしい。
    前半の笑いと後半のシリアスな展開は「クラシックコメディ」という枠を超えている。
    ただやはり”芝居を観たい”観客からすると
    オーケストラを舞台に上げることで、せっかくのダイナミックな物語が
    スペース的に限られてしまうのがちょっと気になる。
    演出上スムーズな場転などが今後の課題かなという気がした。

    ネタバレBOX

    報酬に惹かれてチェコからアメリカへやって来たドヴォルザーク一家。
    にぎやかな都会暮らしに、つい故郷の豊かな自然を思い出すドヴォルザークだったが
    アメリカに相応しい交響曲を作るため日夜悩み続けていた。
    そんな時、ふとしたことからインディアン居留地で彼らの歴史や価値観に触れた彼は
    その素朴な力強さに感動して交響曲の想を得る。
    しかし原住民を一掃して新大陸を我が物にしようとする政府軍がついに居留地を攻撃、
    ドヴォルザークは彼らの凄惨な最期を見届けることになる…。

    偉大な作曲家の人間臭い面をコミカルに演じる一方、シリアスなインディアンの歴史には
    真摯に向き合い敬意を表する、そんなドヴォルザークのキャラに親近感がわく。
    なだぎ武さんの緩急自在な演技に惹き込まれた。
    声の滑らかさ、動きの柔軟さ、そして姿勢の良さが素晴らしい。
    大きな太陽に感激して泣きだす場面では、思いがけなく私も涙がこぼれた。

    歌の分量は以前より少し控えめな印象を受けたが、唐突感がなくとても自然に感じた。
    インディアン達の踊りが類型的なそれではなく、工夫があった。
    銃で攻撃されながら生まれ変わりを信じて身一つで立ち向かう壮絶な場面、
    迫力と同時にインディアンの精神が際立って忘れられないシーンだ。

    クラシックと物語の融合である以上、そのバランスは永遠のテーマだと思うが、
    舞台の使い方は工夫の余地があるかもしれない。
    頻繁な場面転換に伴うセット移動が気になったり、スケール感がイマイチだったり
    ちょっともったいない印象を受けた。
    ストーリーの核が壮大なインディアンの原風景であるだけに尚更そう感じるのだろう。
    次第に公演の規模が大きくなっていく東京イボンヌが、
    今後どちらの観客にどうアピールする舞台づくりをするのか
    そのバランスとセンスに注目していきたい。





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    2016/06/11 01:58

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