スパルタクスの乱開発 公演情報 劇団バッコスの祭「スパルタクスの乱開発」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    もしかしたら平和な時代に
    史実を元にした歴史ファンタジーエンタメ。

    ネタバレBOX

    ローマ帝国の時代、コロッセオで行われていた剣闘について
    皇帝の妹の「血なまぐさいのは飽きた」の鶴の一声で、
    剣闘を魅力的で面白い見世物にするべく、試行錯誤をしていく。

    まず殺陣のレベルが高いなと思った。
    小劇場だとエンタメ系の芝居にある殺陣は
    ピンからキリまであるけれど、
    これはよく出来ていて見応えがあった。
    劇団員の丹羽さんの技術と身体能力の高さもあるだろうが
    剣闘がしっかりと見せられるものになっていた。

    あうるすぽっとは客席部分が広々とした印象で、
    大きい劇場でもあるので、
    小劇場の劇団は特に演出は苦心するなと。
    やはりどうしても広さを活かしきって
    世界観を浸透させるのは難しいか。

    終盤、アリアンが隠していた自身の過去を呼び戻し、
    敵討ちをしてしまうクライマックスから
    ラストの間があっという間過ぎて唐突だったなという印象。
    エピローグをするにしてはもの足りないところがあった。

    剣闘という文化に疑問を投げかけて面白くしようと試行錯誤する過程は、
    現代の文化、とりわけ演劇をどう面白くするかにも通じるように思えた。

    劇中における試行錯誤の過程はそのまま芝居を作っているようにも映った。

    異なる要素を入れる(アイドル、歌、芝居)、
    観客のニーズに応えるべきのか、
    観客を引き込む新しい何かを作るのか。

    皇帝の妹を遠ざけて以後、コロッセオが増えて
    それぞれ客の趣向やニーズによって専門化、分化したのは
    芸能・芸術の現状を暗喩しているかのよう。
    客の欲求は満たせても異なるニーズ(≒文化)の人たちが
    互いに交わる機会がなくなってしまったというのは皮肉だろうか。

    平和な時代の娯楽は
    現実の変化(戦争が再び近づくこと)によって
    その意味を失ってしまうのか。

    結局面白さを追求していくとリアルの方が余程面白い。
    娯楽はできるだけリアルに近づいていくしかないのか。
    本来はリアルを豊かにするものだったのではないか。
    そんな問いかけがあったようにも思えた。

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    2016/06/06 07:55

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