満足度★★★
まさに「愛情の内乱」
根っこはどうやら「カラマーゾフの兄弟」だそうで、ただこちらは母親であるために余計にタチが悪いと思います。父親は殺せるのに、異母兄弟は殺せるのに、母親殺しがいつまでも出来ない3兄弟。それぞれの内部で母親への愛と憎しみが渦巻いています。
白石加代子さんの存在感がすべての軸。あの母親で、ああいう笑いを誘えるのがもうすごい。母の望む通りを演じる長男、傍観している(傍観を装うでもいいけど)次男、母の愛から逃げ出し戻ってくる三男、とそれぞれの兄弟の特徴が非常によく出ていたと思います。怖い。あとは演出で、ふすまのプロジェクトマッピングだったり掘り返す土のにおいだったり、随所で強く印象に残らせるつくりでした。