HARD LUCK SHOW 公演情報 東京ジャンクZ「HARD LUCK SHOW」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    神のゲームか悪魔のゲームか
    煌びやかなライトとリズミカルな楽曲、そして派手でハイテンションな司会者とともに始まるクイズ番組。
    いまやテレビ番組の定番であり、そう珍しいものではない。

    ただし、回答者が椅子に縛られ拘束され、しかもクイズの内容が「回答者自身のプライベートなこと」であることを除いては。

    東京ジャンクZvol.5 『HARD LUCK SHOW』

    騙されて連れてこられた卒業間近の大学生達。
    回答者はこの5人。

    誰も知らない、自分しか知らないはずのことがクイズの問題となる。しかも正解も間違いなく存在している。
    出題者は全てを見通せる『神の視点』とでも言うべき超常的な力を持っているのだろうか。
    さらには全問正解の賞品は「今までのハードラックな人生をチャラに出来る」というにわかには信じがたいもの。メフィスト・フェレスがごとく囁き。
    ならば、より正しくは神ではなく悪魔の方か――。

    情報化の所為で、Facebookで趣味と人間関係丸分かりで、Twitterはバカ発見機と呼ばれ、LINEでは秘密が暴露され、全てが「視覚化」される時代。
    全てを知っているのは神か悪魔か、それとも――システムか。


    シリアスで全編緊張感のある舞台。特に回答者の答えが正解か否かが分かる前の緊張感といったら半端ない。

    前述の通り、ほとんどの役者陣が椅子に固定され動かない――というか動けない。
    全席自由なため「じゃあ、それなら憧れの俳優さんの近い席に~」といったことも可能であり、主催者側もそう意図していると思われるのだが……。

    目が合いっぱなしで、いたたまれないよ!!
    これは目をそらさずにはいられないですわ。
    無理だわー。僕には無理だわー。舞台上の役者をずっとガン見し続ける精神力は僕には無いわー。

    役者のほとんどが動かないということは、舞台上の動きも乏しいということになるのだが、舞台上にギミックが多数仕掛けられ、司会者役のハイテンションさもあり飽きさせない工夫はされている。
    ただ同じような『クイズ』が続いてしまうところは、やや退屈に感じてしまった。
    (なんとかショートカットしようと試みはされていたようだが)

    触れ込みは『お客様体感型のアトラクション番組』。
    その通り、観客も『舞台の装置』として取り込まれているのが面白い。
    10分間の休憩時間でも観客は装置として取り込まれたままである。実にメタ的。

    一番、魅力的キャラクターだったのが、平さん。
    あの何をするか分からないピーキーさは本当に魅力的!(ホラー的な意味で)

    二時間という長丁場であり、ややお尻が痛くなったが、同じような時間だけ椅子に固定された役者の方のことを思うとマシかもしれないね……。

    ネタバレBOX

    超常的な力を持った「神のゲーム」みたいなものかなーと思わせておいて、実は「ほぼ個人によるゲーム」というひっくり返しが面白いね。
    確かに一定の技術さえあれば可能だ。配信するのはニコ生? ツイキャス? 情報化社会の皮肉。

    終わりのオチも面白い。
    ただ、その面白さはあくまでアイデアとしての面白さで終わっていて、きちんと最後まで物語として落とし込めてなかったのが残念。アイデアは良いだけにとっても残念。

    東京ジャンクZさんは「人間賛歌」をキーワードにしているとのこと。
    であるならば、さらにあの状態からその先を描いてこそだと思うのだ。Twitterでやらかした彼ら。彼らのその後を是非とも観たいと思う。

    そう、前作の『蒼いラフレシアの鼓動』でもそうだったのだが投げっぱなしエンドは良くない。ちゃんと広げた風呂敷は畳んでほしい。
    佐々木さん(前作のヒロイン的存在)は助かったんだよな!!! こっちはまだ気になってんだよ!! 『絵本入りこみぐつ』使うぞ! ゴラァ! 

    ……失礼。
    閑話休題。

    観客も舞台の装置として取り込むというアイデアもそうで、休憩時間までは上手く使っているのに、後半ではほとんどその役割が放棄されていたのが実に勿体無く思ったな。
    最後まで上手く活用できず物語として組み込めていなかった。

    このように色々と面白いアイデアを巧く練り込むことが出来れば格段に面白くなると思うのです。

    あと、東京ジャンクZさんを何回か観劇させてもらって気になったこととして、メンバーの演技がパターンになっているように感じます。
    違う舞台の違うキャラクターであっても、「あ、その表現、前にも観たことある」と感じることが多々あるんですね。
    つまり怒る時はこの演技、凄む時はこの演技、パニックになるときはこの演技、というように固定されてしまっている。そのためか演技自体が軽く感じられてしまう。
    特に、鐵さん、小川さん、佐伯さん。この3名が特にそう感じました。
    役を作り込むか、または引き出しの数を増やして頂くことでより良くなるかと思います。

    これからの益々のご活躍を楽しみにしています。

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    2016/04/21 19:51

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