「幕末!天命、投げ売りのクマさん」「ニコニコさんが泣いた日」 公演情報 演劇企画ハッピー圏外「「幕末!天命、投げ売りのクマさん」「ニコニコさんが泣いた日」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    ニコニコさんは演劇
    「ニコニコさんが泣いた日」初日昼公演観てきました。昨日の「クマさん」のほうは、ストーリの展開を見せるのがメインの作品で、坂本竜馬の後半生を史実に沿って約2時間で進めるのという展開な事もあり言葉でストーリーを進めざるを得ないし、幕末史に造詣がないと話を理解するのが少々難しいような処もあるのですが、本日の「ニコニコさんが泣いた日」は、これも昭和史の出来事を土台ではあるものの、昔、日本がアメリカと戦争して東京が爆撃で焼け野が原になった事くらいを知っていれば十分理解できる判り易い作品でした。「クマさん」はテレビドラマや映画にしてもいいような作品でしたが、「ニコニコさん」は映像化不可能な劇場空間ならではの作品であることも感じられて、2作品を交互に上演するってのも面白い試みだなあと思います。
    話を「ニコニコさん」に戻します。演劇にしろテレビ・映画にしろ、病院ものや戦争ものというジャンルは確実に存在していて、それは人間の生き死にを扱っていて、それ自体が非常に強力な題材であるため、それに頼ってしまっている作品は世の中にかなり多いと思います。テレビの2時間ドラマの○○XX殺人事件なんかもその一種だと思いますし....。今回、土台になっているのが上野動物園で実際に起こった有名な話なのは容易に想像できた事でもあり実際に劇場で観るまでは正直あまり気が進みませんでした。でも実際に観はじめると想像とは違ってリアリズムの枠には収まらない劇場演劇ならではの作品であることがすぐ判って楽しませて頂きました。前半はエンターテイメント要素も大きく、いろんなお笑い場面に加え、伊藤えみ・西崎瑠美の姉妹役コンビによる芸能史上有名なセクシーピカピカ衣装ダンスのサービスシーン(?)もありでしたが、このダンスはビックリもので舞台でここまでやるって超レアですよね~楽しめました!
    そして後半は一気にシリアスモードに移り役者さんの演技を十分楽しめます。ここで伊藤さんは、この芝居で一番ツライ設定の場面を様々な表情と声色を使いながら役に入り込んだ見事な演技でミツのココロを客席に伝えてくれました。ミツのこのシーンは作品全体を凝縮したものでもあり、また彼女の演技力との相性も良く、客席も彼女の演技に引込まれて至るところで嗚咽が…。終焉後にホールでお会いしたときの伊藤さんは、役者や演奏家が満足したステージを終えたの独特の表情で、これって男女を問わずとても魅力的。しかも滅多に見られない貴重なもの。もともと綺麗な女優さんでもビックリするほど美しく感じます! 一方男性陣のクライマックスを演じるのは千住さん。実は彼、この場面まではあまり活躍しないのですが、最後に舞台の中央で作品全体を締め括るセリフを客席に向けて単独で語ります。しかし役柄設定上、豊かな表情は使わずに、逆に無表情ともいえる顔でこのセリフを語します。これも十分に客席を納得させるものでした。
    というようにイロンナ要素が入っているお芝居でした。来週も両作品とも参上する予定なので、どう進化しているか楽しみです。

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    2016/04/02 23:47

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