Blackbird ブラックバード 公演情報 幻都「Blackbird ブラックバード」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    激しい会話と…
    舞台セットは、登場人物の心の内を映し出しているようだ。この翻訳劇は、心奥にある思いを激しくぶつけ合う、そんな濃密な会話で成り立っている。この公演、舞台美術はもちろん音響・照明という技術が印象的であった。戸外から聞こえる走車音、心情の変化に伴う照射光の違い。狭い空間に二人しか登場しないから、その芝居にメリハリを持たせる工夫であろうが、実に効果的であった。

    演技は素晴らしい。しかし、女が(下手)床に横たわるシーンは後部座席から観難いと思うし、台詞も聞きづらくなるので、工夫が必要だと思う。

    この作品には、現在の”児童ポルノ”に通じる問題も想起させるような...。
    英国が「児童の権利に関する条約」を締結していたかな?
    (上演時間 1時間35分)

    ネタバレBOX

    公演は、ある事務所の一室に男女が縺れるように入ってくるところから始まる。その室内は、中央にテーブル、椅子やダストボックス、上手にロッカー連、下手壁は曇りガラス窓とドア。テーブルの上はもちろん、床の各所にゴミが散乱している。そして室内全体が荒廃し寂寥感が漂う。

    冒頭、何の目的でこの女(中村美貴サン)が来たのか、それが分からない。サスペンス風であったが、そのうち少女期(12歳)に、この男(大森博史サン)と性的関係を持ち、当時から現在までの苦しみ、恨みごとを訴えに来た。男は、今の幸せな生活があること、当時の言い訳と刑務所で悔悟したことを説明する。この互いの思いを綴る15年間の回想話。その会話はあちらこちらに漂流(女は世間の冷たい目に晒されつつも同じところに住み、男は名前も住むところも変えるという対照的な生き方)するように揺れる。そのうち、男は苛立ち、激高しゴミを蹴り散らかす。それがいつの間にか二人でゴミを蹴り、投げることで、過去の蟠りを払拭するかのような行為...狂気が狂喜に変わり冒頭の憎悪が浄化され愛情へ変化していくようだ。

    男女の関係になるのに年齢差は関係ない(当時男は40歳、女は12歳)。男の”性癖”がクローズアップされ、情交しようとしたところで暗転する。そして明転すると10代と思われる少女(山岡愛姫サン)が入ってくる。この男の子供(実子か妻の連れ子か判然としない)だという。しかし、時を経てもその性癖は...と思わせるようなラストシーンである。

    「大人は嘘をつく」という台詞…純真な少女が、無垢な気持を弄ぶ性癖の男へ放った痛烈な非難。一方、それでも愛を確認したい、少女から女性へ成長しても、そこは女の”性“なのだろうか。その愛憎、哀切さが心に響く。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2016/03/17 07:07

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